生乳の風味について
牛乳の原料となる生乳は、乳牛が生み出す自然の産物なので、乳牛の種類や飼料(エサ)、季節や飼育方法の違いなどにより、乳量や乳成分が変化し、味や香り、コクなど風味にも影響を与えます。
日本ではホルスタイン種が主に飼育されていますが、他にもジャージー種やブラウンスイス種なども飼育されており、それぞれに生乳の成分などに特徴があり、風味も違います。また、同じホルスタイン種でも個体差があり、個体ごとの生乳の風味は、それぞれ微妙に異なります。
また一般的に乳牛は暑い夏が苦手なので、夏バテして食欲が無くなったり、水分を多く摂ったりすることがあります。そのため乳量(生乳の出る量)や成分(乳脂肪分や無脂乳固形分)などが変化してしまうので、季節が変わると生乳の風味も変わります。
さらに酪農家は栄養バランスを考えて牧草やトウモロコシなどの様々な種類の飼料(エサ)を乳牛に与えますので、乳牛が食べた飼料(エサ)によっても生乳の風味は変わります。
製造方法について
乳業メーカーでは、安心して飲んでいただくために、製造工程の中で生乳の加熱殺菌をしています。殺菌温度や殺菌方法は製品によって異なりますので、それによっても牛乳の風味は変わります。
また、牛乳の風味を検査する官能検査員(パネリスト)が、出荷前にいつもの牛乳と大きな風味の差がないかを検査していますが、原料となる生乳本来の風味の変化まで整えることはできません。
味の感じ方について
その他にも、牛乳を実際に飲むときの条件によって味が違うと感じることがあります。
牛乳は温めると香りが強くなる傾向がありますので、温度の違いによっても味の感じ方が変わります。乳業メーカーのパネリストによる風味検査によると、おいしさは13℃、濃厚さは17℃くらいを最も好ましいと感じているようです。
また、一緒に食べるもので牛乳の味が変わったように感じることもあります。
種類別牛乳のほかにも、低脂肪の牛乳、濃厚タイプの牛乳など、牛乳にはたくさんの種類があります。いろいろな牛乳を飲み比べて、味や香りの違いを感じてみてください。