トランス脂肪酸とは、脂質の構成成分である脂肪酸の一種です。
トランス脂肪酸は、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中に含まれている天然由来のものと、常温で液体の植物油などから半固体又は固体の油脂を製造する加工技術の一つである「水素添加」によって製造されるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどに含まれているものがあります。
トランス脂肪酸の摂取量が多いと、冠動脈疾患などを増やすリスクが報告されています。
WHO(世界保健機関)では、これらのリスクを低減し、健康を増進するための目標として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー比1%未満に抑えるよう提示しています。
トランス脂肪酸の平均摂取量(エネルギー比)
アメリカ:2.2% 日本:0.3%
(食品安全委員会ホームページ 2015年更新分より)
このように大多数の日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、WHOの目標値を下回っています。
脂質に偏った食事をしている人は、注意する必要がありますが、通常の食生活では、健康への影響は小さいと考えられます。また、食品中のトランス脂肪酸を低減すると、飽和脂肪酸の含有量が増加する傾向があり、飽和脂肪酸については、摂取目標量の上限(エネルギー比7%)を超える性・年齢階級があることに留意が必要と考えます。
脂質自体は重要な栄養素でもありますが、近年は、食生活の変化により脂質の摂取過剰が懸念されており、トランス脂肪酸だけを必要以上に心配せず、脂質全体の摂取量に十分配慮し、バランスの良い食事を心がけることが大切です。