凝乳酵素はたんぱく質に働いて乳を凝固させ、熟成中にたんぱく質を分解し組織や風味を生成する働きをしています。
酵素による乳の凝固の原理は紀元前、反芻動物の胃袋中に温かい乳を保存した際に乳が固まる現象が起こったことで知られるようになったと言われています。その後数千年にわたり、この原理がチーズ製造に利用されています。
動物由来の仔牛レンネット
生後10~30日の仔牛の第4胃から得られる凝乳酵素で、キモシン88~94%、ペプシン6~12%が含まれます。
植物由来の植物レンネット
イチジクのフィシン、パパイヤのパパイン、パイナップルのブロメラインなどの、たんぱく質分解酵素には凝乳作用があります。宗教上の理由で牛の胃を使えないインドなどでは、古くから研究が行なわれています。
微生物レンネット
20世紀中ごろからある種のカビが凝乳酵素を生成することが分かり大量生産技術も確立され、広く使われるようになりました。
遺伝子組み換えレンネット
20世紀終わりごろには遺伝子組み換え技術を用い、微生物菌体内にキモシンを生成させる方法が実用化されています。
現在世界では主に「微生物レンネット」と「遺伝子組み換えレンネット」が用いられていますが、日本では「仔牛レンネット」と「微生物レンネット」が主に使われています。