わが国で市販されている調製粉乳は、株式会社明治、森永乳業株式会社、雪印メグミルク株式会社、雪印ビーンスターク株式会社、江崎グリコ株式会社、アサヒグループ食品株式会社の6社が厚生労働省の許可を受けて販売しています。
練乳などの時代
江戸時代までは、上層階級では乳母をつける風習がありましたが、一般庶民では、母乳が不足した場合は、もらい乳をしたり、穀粉などを煮溶かした代用乳を与えていました。
明治に入ってから、牛乳が利用されたり、加糖練乳が使われるようになりました。
初期の粉乳時代
大正4年頃から、乳児の栄養代謝についての研究が始められ、大正6年、我が国初の育児用粉ミルク「キノミール」が和光堂より発売されました。キノミールは全脂粉乳をベースに滋養糖を添加したものでした。
調製粉乳の誕生
昭和16年「牛乳営業取締規則」の改正が行なわれ、育児用粉ミルクは「調製粉乳」として、初めて規格が定められました。
昭和26年には「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」が公布され、厚生大臣(現厚生労働大臣)の許可を得て、調製粉乳に乳幼児に必要な栄養素を添加することが認められました。
この時期の調製粉乳は、全脂粉乳70%に、砂糖などを添加したものでした。
特殊調製粉乳時代
昭和34年、乳等省令で「特殊調製粉乳」の規格が制定され、牛乳の成分そのものの置換が認められるようになりました。昭和50年以降は、砂糖の添加もなくなりました。
昭和30年には未熟児用ミルク(低出生体重児用調製粉乳)が、昭和50年には離乳後期以降に飲ませるフォローアップミルクが発売になりました。
新調製粉乳時代
昭和54年、乳等省令が改正され従来の調製粉乳と特殊調製粉乳がひとつになり、新たに「調製粉乳」の規格が定められました。昭和56年には栄養改善法(現在の健康増進法)の改正で乳児用調製粉乳が「特別用途食品」に指定されました。
平成30年8月の乳児用液体ミルクの許可基準設定に伴い、特別用途食品の乳児用調製粉乳の区分は「乳児用調製粉乳」と「乳児用調製液状乳」に分けられました。
令和6年4月より乳及び乳製品の成分規格に関する命令(乳等命令)に名称改正され、厚生労働省から消費者庁へ移管されました。