本来乳糖は小腸内で乳糖を分解する酵素(乳糖分解酵素=ラクターゼ)により分解されて小腸で吸収されますが、ラクターゼが少ないか働きが弱いと、乳糖は小腸で分解されずそのまま大腸の方へ進みます。
大腸へ進んだ乳糖が腸内細菌により分解される際にガスや酸が産生され、ガスが大量に発生すると腹部膨満感や腹痛の原因に、また産生された酸によって腸が刺激を受けると腹痛の原因となる場合があります。さらに乳糖は大腸内に水を呼び込む性質を持っており、下痢症状をもたらす原因になると考えられています。
このように乳糖摂取によって生じる不快な症状を「乳糖不耐症」と呼んでいます。乳糖不耐症と聞くと、病気のように感じるかもしれませんが決して病気ではありません。授乳している赤ちゃんは母乳に含まれる乳糖をエネルギー源として利用するためラクターゼの働きが活発ですが、離乳後はエネルギー源を母乳中の乳糖に頼る必要がなくなるので、次第にラクターゼが生産されなくなります。これは哺乳動物全般に見られるごく自然なことなのです。
おなかがゴロゴロする人に以下の方法をお勧めします。
数回に分けて飲む
数回に分けることで、乳糖が分解しやすくなります。
温めて飲む
温めて飲むことで腸への刺激が弱まり、ラクターゼの働きも盛んになります。ホットミルクだけではなく、コーヒーや紅茶に混ぜる、ココアにするのもお勧めです。
ヨーグルトやチーズを食べる
ヨーグルトは乳酸菌の発酵によって乳糖の20~40%が分解され、減少しています。チーズは製造過程で乳糖の大部分がとり除かれています。
乳糖の量を抑えた乳飲料を試す
乳糖を約80%分解した乳飲料が販売されています。
乳糖が原因ではない場合もあります
また牛乳を飲んで不快な症状を体験したとしても、乳糖が原因ではない過敏性腸症候群や牛乳アレルギーは乳糖不耐症と似た症状が現れよく混同されるため、区別は慎重にならなくてはなりません。
最近の研究で牛乳を飲むとお腹の不調を感じると思っている4人に1人は心因性のものなど乳糖のせいではない可能性があることがわかりました。(※)