- 講演後の質疑応答 -
- Q1.「ミルクリスマス」は初めて聞いたのですが、どこの国で行われているのでしょうか?
- A1.
- もともとは北欧文化です。スウェーデンとかノルウェーとか。ニッセというサンタクロースの手伝いをする妖精がいるのですが、赤ちゃんみたいな存在なのです。そのニッセが飲むために牛乳とクッキーを用意するというのが本来のルーツらしいのですが、それが欧米ではサンタにクッキーと牛乳をあげるというのが今も続いているというのがあります。
- Q2.おっしゃるようにイメージというのはこの時代すごく大事だと思うのですが、さっきご自身では、何で牛乳を飲むのと言われて、最終的には強くなるからとおっしゃっていましたが、牛乳の良さを訴求するときに、牛乳のどのあたりが一番受ける、強みになると考えますか?
- A2.
- 意識しているのは牛乳の可愛らしさです。キャラクターにすることで親近感が湧いたりするので、キャラクター化することは大事にしています。
- Q3.では、「強くなるから」というよりも、どちらかというと、「かわいいキャラクター」のほうがいいのでしょうか?
- A3.
- 肉体的な強さもそうかもしれないのですが、気持ち的な強さも含めての強さというところを表現していきたいなと思っています。
- Q4.「牛乳も銘柄で選ばれるように」ということですが、例えばお米だったら、ササニシキ、コシヒカリという品種、お酒だったら八海山とかということですか?
- A4.
- 品種でもありますが、商品名でも出ています。例えばササニシキとか、ゆめぴりかとか、「お米」と付いていない商品名が多いですね。
- Q5.(意見)銘柄買いなのか、ブランド買いなのか、種類別とかといったところを考えると、やっぱりそれは個々のメーカーの方が、商品戦略的に取り組む内容なのかなと思いますし、先ほど出てきた「ミルクリスマス」といったところの企画も、商品を売っていく、もしくはカテゴリーを売っていくという中での考え方になって、それを横断的に、業界横断としてできるかといったところは課題もあるかと思います。
- Q6.牛乳雑貨専門店がうまくいかなかったという話で、特に何が要因だったのでしょうか?
- A6.
- お店をやるにしても、イメージをまず作ってからお店を作った方がよかったのかなと思います。牛乳がかわいいというイメージが全くない状態の中で、あの店がポンっとできたので、みんな結構ビックリしてしまったというか、今だったらまたちょっと状況は違うかもしれないのですが、イメージ作りがまだできていないときに店を始めてしまったのが原因の一つと思います。
- Q7.メーカーで何か取り組まれて強化していっている内容、牛乳に関してアウトプットしているものがあれば共有させてください。
- A7.
- メーカーA:
2002年の時点で既に「ボトルタイプの牛乳」という発想をされているところに驚かされました。本日のテーマが100年後ということですので、我々メーカーも10年20年先を見据えて、例えばお昼をイメージして考えた商品であるとか、今までになかったような発想、新しいアンテナを張りながら、業務に取り組んでいく必要があると思いました。 - メーカーB:
当社が販売しているキャップ付き容器230mlの商品には、ストローで飲むタイプにはない、広い飲み口でゴクゴク飲めるおいしさがあります。この容器の良さであるリキャップできるという点も含め、牛乳のおいしさを改めて伝えていきたいと思っています。 - メーカーC:
牛乳を身近に感じていただきたいと人気のキャラクターをパッケージに掲載したところ、小さなお子さんに手にとっていただいたり、指名買いみたいなことがありました。
また、牛乳のイメージを変えるという点で、業界として各社連携して取り組めることを考えていく必要があると感じました。 - メーカーD:
酪農家がつくった会社というイメージを伝えたいということで、北海道の真面目さというか、酪農家の一生懸命絞っているという姿勢をお伝えしながら、牛乳のイメージを上げていくということが大事と思っています。あと、キャップ付き容器にすることで、冷蔵庫に横に入れられるということで好評をいただいているということもあります。 - メーカーE:
お客様から、今日のような斬新なお話とかが入ってきても、それはちょっと無理だというような反応から入ってしまう傾向にあるので、常識や固定観念にとらわれないような発想というのは必要だと改めて思いました。
現在では、酪農家を指定した生乳を使ってそれを前面に押し出して注力したりしています。 - メーカーF:
2002年に発売されたボトル容器の商品はデザインがすごくすっきりしていて、既存のメーカーの商品とは違うなという印象を受けました。容器にはいろいろ書かなくてはならないこと、書きたいことが多く、ついゴチャゴチャしてしまうことがあります。シンプルにメッセージを伝える工夫もしていくべきだなと感じました。
- メーカーA:
- Q8.(感想)私自身、牛乳に対するイメージがすごく変わりました。こういうアプローチの仕方があるのだなというのを、すごく思いました。やはり仕事柄どうしても、やっぱり飲んでもらいたいために、牛乳の栄養価だとか、多分聞く側はあまり聞きたくないことを伝えてしまっているのではないかなというのを、お話を伺いながらすごく感じました。
私自身、牛乳がかわいいと思ったことがまずなかったので、なかなかそこを咀嚼するのに時間がかかったのですが、確かにそのイメージってすごく大事で、多分、今の時代でしたらすぐに、それこそバズったんじゃないかと思います。こういうアプローチで牛乳と少し仲よくなっていくと、子どもたちにもっと受け入れられるのかなというのを感じました。
あと、他の飲み物と何が違うのかといったら生き物の力で、牛の力をいただいているということを、普段なかなか子どもたちに伝えることがないので、すごく説得力があって、すとんと落ちてきました。 - Q9.「ミ道」は、なかなかご当地の牛乳そのものの違いを打ち出すのはいろいろ工夫が必要なのかなとは思うのですが、その反面、いま特にインバウンドの人たちからすると、おいしいだけではなくて、日本のやはり食文化そのものをものすごくリスペクトしてくださる方が多いと思います。「ミ道」はその後どうなったのでしょうか?
- A9.
- 「ミ道」は不定期でイベントのような形で開催しています。一緒にやる方が、お子さんだったり、ご高齢な方だったり、いろんな方がお客さんとしていらっしゃいます。牛乳って普段ゆっくりじっくり味わうことはあまりないと思います。ゆっくり味わうことで、普段感じられない牛乳の奥にあるうまみだったり、香りだったりも感じられると思います。
- Q10.600種ぐらい牛乳を飲まれたということですが、一番おいしいと思われた牛乳と、それから一番おいしいと思った飲み方というのを教えていただきたいです。
- A10.
- 一番というのはなかなか難しいですね。本当に牛乳どれも大好きで、どの牛乳も違うおいしさがあると思うのですが、その中でも、より牛乳が好きになったきっかけというのは、低温殺菌牛乳を初めて飲んだときに自分の中に結構衝撃が走りました。記憶に強く残っている牛乳です。
飲み方としては、やっぱり冷蔵庫からすぐ出して飲むというよりは、シーンによって違うのですが、うまみを感じたいときは、ちょっと常温に戻してからじっくりうまみを味わうというのをやったりします。本当にシーンによっていろんな飲み方をしています。
- 一番というのはなかなか難しいですね。本当に牛乳どれも大好きで、どの牛乳も違うおいしさがあると思うのですが、その中でも、より牛乳が好きになったきっかけというのは、低温殺菌牛乳を初めて飲んだときに自分の中に結構衝撃が走りました。記憶に強く残っている牛乳です。
- Q11.飲む時間、場所、それから飲み方という点でもっと新しいことをいろいろ提案していったらいいのかなと感じました。そのためには容器の問題というのがすごくあると思います。紙パックだと、全部飲まないといけないから持ち運びしにくいし、飲んでいるときに、空気が音を立てたりしたこともおしゃれじゃないし、飲みにくいとかあると思います。商品を開発されたときにボトルタイプを考えられた理由は何だったのでしょうか?
- A11.
- 当時はやはり紙パックが主流でしたので、持ち運ぶというのがなかなか難しい、かといって、飲み切れるサイズでなければいけないという牛乳ならではの特性があるので、小さいサイズで飲み切りはできるけど、一応蓋もできて持ち運びもできるということで、ボトルタイプというものが、新しい選択肢の一つとしてできたらいいのではというところで考えてみました。
- Q12.「ミ道」の話の中で、お酒ですと、きき酒の日本一選手権とか何かありますよね。ああいうのを「ききミルク」みたいな、飲むのにおいしい牛乳、それから、例えば健康的に育てられている牛乳とか、それから、ケーキやチーズに加工するのにいい牛乳とか、それぞれ違うと思うのですよね。いろんな用途に応じて「ききミルク」をしながら、この牛乳大賞を選べると何かすごく楽しくなると思いました。
- A12.
- 「ミ道」でも敢えて牛乳を飲み比べたりもします。2つの牧場の違いを、ここの牧場はこういう育て方でやっているので、風味にこういう特徴が出ていますとか、ではこっちはどうかとか、比較することでお互いの個性を知ってもらったりしています。比べるというのも有効で、牛乳そのものを知っていただく上でもいい機会なのかなと思います。