当時のアメリカ総領事館は、伊豆下田にある玉泉寺に置かれていました。領事として就任したハリスが、牛乳の提供を奉行所に申し出ましたが「国民は牛乳を一切食用にせず、牛は農耕や運送のために飼育するだけ」と断られました。その後、江戸に出府し、麻布の善福寺に領事館を置き日米の友好を深めましたが、体調を崩し下田に戻ります。
ハリスは、闘病生活の中でも牛乳を飲みたいと要望し、1858年2月に近隣各所から牛乳を購入することができました。その代金は牛乳9合7勺で、1両3分84文。現代の貨幣価値に置き換えるのは難しいのですが、約1,600mLで数千円から1万円以上と、とても高価なものでした。
その後牛乳が効いたのか、ハリスは1月程度で病状が回復し、江戸へ戻ったということです。