もともとカルシウムは炭水化物やたんぱく質に比べて消化吸収率の低い栄養素です。しかも体内で作ることができないため、毎日食事から摂取しなくてはいけません。
牛乳のカルシウム吸収率が高い理由
牛乳のたんぱく質から消化過程で生成するカゼインホスホペプチド(CPP)という物質にカルシウムの吸収を促進する働きがあります。CPPは、牛乳中のたんぱく質の約8割を占めるカゼインが、小腸下部で酵素によって分解されて生成します。
摂取されたカルシウムは胃の中で可溶化され、小腸で体内へ吸収されます。小腸の上部で一部吸収され、大部分のカルシウムは下部に移動します。下部にいくほど管腔内のpHが上昇(弱アルカリ)するので、一般的にはリン酸と結合し、不溶化して吸収されにくくなります。CPPはこのカルシウムの不溶化を阻止し、腸内沈殿を防ぐことでカルシウムの吸収量を増やす作用があります。
野菜に含まれるシュウ酸や、穀類や豆類に含まれるフィチン酸および食物繊維には、カルシウムの吸収を阻害する作用がありますが、牛乳にはこれらの物質がほとんど含まれていないので、カルシウムの吸収率を高める要因となっています。
カルシウムの代謝に間接的に影響を与えると考えられるリンは、カルシウムの吸収や利用には支障がなく、骨や歯の形成・維持に適切とされる比率で含まれています。
また、カルシウムの吸収を助けるのに必要なビタミンDは、鮭やきのこ類などに多く含まれます。日頃の食生活にバランスよく取り入れましょう。また食事以外では食事で摂ったビタミンDを体内で活性型のビタミンDにするために、適度に日光(紫外線)に当たりましょう。