慢性便秘症診療ガイドライン2017によると、便秘とは「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義され、排せつ物がお腹の中に滞っている状態をいいます。
当然、排せつ回数が少なくなると便秘とされますが、毎日、便通があっても、残便感や腹痛があると便秘とされます。その逆に、毎日便通がないとしても、苦痛と感じなければ便秘とはいえません。
便秘と関わる器官が腸ですが、ヒトの腸内には多くの腸内細菌が生息しています。牛乳に含まれる乳糖は難消化性なので、一部は未消化のまま大腸に到達して、腸内細菌の分解によって酸を生じます。酸の一部は大腸の細胞の栄養源となったり、腸内のpHを酸性側に傾かせて、いわゆる善玉菌優位の腸内環境をつくります。また、回腸や大腸を刺激し腸のぜん動運動を高め、便秘の改善に貢献します。
他にも、乳糖が腸内の浸透圧を高め、平衡化するために周囲から水分を取り込み、腸内の内容物を軟らかくしてスムーズな排便を促進したり、冷たい牛乳を空腹時に飲むことにより、腸を刺激する効果もあります。
しかし、便秘は、大腸の運動が低下(弛緩性便秘)して起こるだけでなく、腸が緊張して便がうまく運ばれなかったり(痙攣性便秘)、排便のサインがおこらずに便意が感じられない(直腸性便秘)ことが原因だったり、大きな疾患が関わっている可能性もありますので、なるべく診察を受けましょう。
そして、牛乳を飲む習慣だけでなく、食生活、生活習慣を整えることも大切です。