コロナ禍における牛乳乳製品の購入・利用の変化
コロナ禍の前後で牛乳の購入頻度とか購入量がどのように変化したか
その結果、2019年度10月の調査時点ですが、2019年度に比べて2020年度では週に2回以上購入する層において、1回あたり2リットル以上牛乳を購入する方々の割合が増加していることが確認されました。また、特に1回あたり3リットル以上購入する割合、赤で示される部分ですが、そこが増加していることが確認されました。これはまさにコロナ禍におけるまとめ買いの影響が現れていると考えます。
コロナ禍での牛乳類の購入頻度及び購入量の変化(推移)
その結果、牛乳類の購入回数と、1回あたりの購入量、上のグラフと下のグラフですが、減った割合、これは青い部分で示されますが、減った割合よりも増えた割合である赤の方が明らかに多くなっています。すなわちこれは、いずれのタイミングにおいても増加の傾向が続いているというのが明らかです。ただし、購入回数について見てみますと、2020年の8月の時点、これはちょうど上のグラフの真ん中ですが、そこを頂点として1月には減少の傾向が出てきたところです。
それから1回あたりの購入量についても、これは昨年の4月からこの1月に掛けて徐々に減ってきていて、牛乳類を複数回購入したり、1回に大量に購入するようなまさに最初の緊急事態宣言下で外出自粛というのが見られたその時期の購買行動から、少しずつ落ち着いてきているのではないかなというところが、このデータからも現れているのではないかと考えています。
牛乳類の購入頻度及び購入量の増加に関する属性別の状況
属性は、男性・女性、それから年代、それから職業で、牛乳類の購入回数とか、1回あたりの購入量について分析をしたものであり、1月の結果です。その結果、コロナ禍の中でいずれの属性においても第1回目の緊急事態宣言前の昨年の4月より前に比べてということですが、牛乳類の購入頻度や購入量が増加したと回答した人が10%から20%程度増加していることが判明しました。ちょうど青で示されている部分です。
なお、属性で見てみると、性別では男性とか、それから50歳以上、職業ではホワイトカラーの方々においては、牛乳の購入回数の増加よりも、買い物1回あたりの購入量の増加率の方が高くなっているという結果が出ています。これらの結果は、巣ごもり生活とか、外出頻度の減少により、このような属性の方々において、依然として1回あたり大量に購入するまとめ買いの傾向がまだ続いていることを表しているのではないかと考えます。
コロナ禍での牛乳類の購入場所の変化(推移)
どこで牛乳類を購入しているかで、2020年の4月、8月、1月で、その調査の推移を見たのがこのグラフです。その結果、スーパーマーケット、それからドラッグストアについて、スーパーマーケットは左の上、ドラッグストアは真ん中の下ですが、赤で示される利用の増加者が、他の購入場所に比べて目立っていますが、2021年1月の時点の増えたと感じている人が、前年の8月よりも少なくなっていることが確認されました。
また、その一方で利用が減少していると確認されていたコンビニエンスストアとかディスカウントストア、ちょうど右の上と下ですが、こちらでは減ったと感じている青く示されるところですが、減少傾向に歯止めが掛かってきているのではないか、減ったと感じる方が少しずつ減ってきているということで、コンビニとかディスカウントストアでの購入を控えるお気持ちが少しずつ和らいでいるのではないかということで、コロナ禍ではあるが、購入場所の変化が通常の状態に少しずつですが、戻りつつあるというのが、このデータから確認されます。
牛乳類の飲用(利用)シーンについて
調査は2020年10月に行われた結果です。その結果、牛乳類はタイミングで一番多いのが朝食中でした。全体の5割近くに達しています。また、これは赤が女性、青が男性ですが、赤色で表される女性においては、おやつ・間食中、それからコーヒーやお茶を飲む時で、男性に比べて特徴的に高いことがよく分かります。さらに青で表される男性は、朝食後、それから夕食後の食事の後に飲用するケースだとか、喉が渇いた時とか、お風呂上がりのように、ある意味水代わりに飲んでいる飲用シーンが特徴的に現れています。男性も女性もこの結果に関しては、いずれも在宅時間の増加というのが原因ではないかと考えていまして、これもコロナ禍の影響の一つではないかと考えています。
コロナ禍前よりも利用が増加した牛乳乳製品
左のグラフは、2020年4月、8月、10月各時点の結果、それから右の図は2021年1月の時点でのデータを表しています。その結果、牛乳乳製品のいずれも、昨年の4月の時点で増加したと回答した人が一定量確認されました。その後、8月、10月と時間を経ていく段階で、少しずつ落ち着きを見せていまして、減り方が減ってきたということですが、右のグラフ、これは数字で見ていただくことになりますが、再び増加してきていることが確認されています。
例えば、牛乳について見てみると、2019年4月より増加したと回答した人が、2020年4月の時点では14.4%、8月の時点では8.6%、10月の時点では7.5%で、これが2021年1月の時点では、右のグラフの一番左で20.9%でした。また、ヨーグルト・バター・チーズにおいても、2020年4月に対して8月、10月では増加の傾向が落ち着いてきたところですが、2021年1月に再び増加傾向が確認されています。2020年4月、5月の最初の緊急事態宣言、そして2021年1月の2回目の緊急事態宣言といった社会情勢や外出自粛といった制限が、牛乳・乳製品の消費に少なからず影響していることがこのデータからもうかがうことができます。
飲用・利用の方法についても聞いています。
1月時点の結果、右のグラフですが、牛乳については直接飲用するケース以外には、コーヒーなどの他の飲料に混ぜて飲むという飲み方、それから料理に使うことも一定の増加を見ることができました。また、バターにおいても、パンに塗るという行為だけではなく、料理に使ったり、それからお菓子やパンなどを作る際にバターを使ったと回答した人が増加していることが確認されました。多い少ないはありますが、いずれも増加の傾向が確認されています。
牛乳乳製品の利用が増えた方の性別・年代別結果
まず牛乳については、上から2番目から4番目のバーですが、直接飲用と答えた方々は、男性・女性でほぼ半々でした。一方、料理に使うとお答えいただいた方は、男性は3割に対して女性では7割でした。牛乳の飲み方、利用の仕方が、男性と女性でそれぞれ少し変わってきていることが見て取ることができます。また、ヨーグルトについては、料理に利用と言うよりも、直接食べる方々が特に女性の割合で多くなっていました。
バターについてですが、バターの利用が増加したと回答した人のうち、パンに塗る方々は、男性・女性ほぼ同じ半数で占めておりましたが、料理への利用とか、パンや菓子づくりに利用する人については、女性の割合が多くなっていまして、特に30歳代以下の割合が多くなっていることが確認されました。このグラフでは、赤のところ、ピンクのところ、それから、薄いピンクのところが女性の30代以下のところであり、バターの利用率、それから菓子やパンに使うという利用と答えた方々が多いという結果が現れています。
牛乳を和食の材料として利用する乳和食調査結果
乳和食に関しては、例年Jミルクでは調査をしていまして、2020年度も10月の調査で実施しています。その結果、乳和食は食事経験者、食事をしたことがあると答えた方々が、2019年度に比べて、2020年度では若干増加していることが確認されました。2020年度は若干増加という傾向が確認されたのですが、2019年度までは、若干減っている傾向でした。コロナの影響があるのかどうか定かではないですが、若干増加の傾向になり始めたところです。
また、男性・女性、性別・年代別で見てみると、男性・女性とも15歳から20代の若い層において、乳和食の食事経験を含めた認知度が高いことが確認されました。特に、これは意外かもしれませんが、15歳から20代の男性においては、その同年代の女性よりも食事経験も含めた乳和食への関与が高くなっていることが確認されました。若い男性が牛乳を使った和食といった新しい食事に対して関心を持っていることがこのデータから明らかになりました。
コロナ禍前と比べた、現在の牛乳利用の増加のパターン
現在の牛乳の飲用・利用について、どのようなパターンで牛乳を飲用・利用しているのか、それがどのように増加しているのかを深掘りして分析した結果を集めていす。
現在の牛乳利用の増加のパターン(飲用・利用頻度別)
牛乳を直接飲用する、それから、牛乳を他の飲み物に混ぜて飲む、それから、牛乳を料理に利用するという3つの利用パターンについて調査を行いました。
まず最初に、牛乳の飲用・利用頻度別で見た結果です。
牛乳の飲用・利用頻度別とは、今現在あなた自身が牛乳をどれぐらいの割合で飲んだり利用していますかと聞いた結果であり、この結果から明らかですが、牛乳類を毎日複数回飲用・利用している人は、直接飲用、何かと混ぜて飲用する、料理に使うという3つのすべてのパターンでその割合が高くなっていることが分かりました。毎日1回とか、週に3回から6回飲んでいる方に比べて、1日に複数回牛乳を飲んでいる方々というのは、様々な牛乳の飲用・利用の仕方をされていることが分かりました。一方、毎日1回飲用・利用している人よりも、週に3回から6回飲用・利用している人の方が、これも3つのすべてのパターンで増加の割合が高くなっていました。
毎日複数回の人は、直接飲用だけではなく、料理に使うというパターンにおいても多く出ていまして、料理とか飲用にまんべんなく牛乳を利用していることが分かってきました。また、週3回から6回の飲用をされている方々は、直接飲用のみと、他のものと混ぜて飲んだりとか、その両方のパターンなど、毎日牛乳は飲まないものの、気軽に牛乳を飲用している状況を読み取ることができます。
現在の牛乳利用の増加のパターン(性別)
男性では直接飲用する割合が特徴的に多いのに対して、女性では直接飲用したり、何かと混ぜて飲んだり、または料理に使ったりと、様々なパターンで牛乳を飲用・利用していることが分かりました。
現在の牛乳利用の増加のパターン(年代別)
65歳以上の方々が、直接飲用のみ、それから直接飲用と料理に飲用するの両方のパターンで増加したといった方々の割合が特徴的に高くなっていることが明らかになりました。これらは、高齢者によるタンパク質摂取の目的とか、それから料理の機会が増加したといった要因が考えられます。これらの結果もコロナ禍の中、外出機会が減少したことや、健康維持のためといった状況がこのデータにも現れているのではないかと考えています。
現在の牛乳利用の増加のパターン(世帯構成別)
単身とか、家族でもお子さんがいる方、いない家庭といった形で解析をしました。
その結果、直接飲用、他の飲み物に混ぜて飲用、料理に利用の3つのすべてのパターンで増加した人では、お子さんがいる家庭において特に増加の割合が高くなっていることが分かりました。また、子どもがいる家庭では、直接飲用と料理の利用との両方の割合が高くなっていて、料理で牛乳の利用が進んでいることが、このデータからも確認できました。その一方で、青で示される直接飲用のみは、単身世帯では直接飲用のパターンが増えていまして、一人で暮らす方々は牛乳を特に料理とかではなくて、直接そのまま飲むという環境が多いことが、この結果から明らかとなってきました。
牛乳乳製品の利用に関する利用増加者の声(自由回答)
牛乳を何と混ぜて飲用(「混飲」)していますか?
混ぜて飲んでいる方々の自由回答では、コーヒー、紅茶、中には味噌汁とか、青汁に入れて飲んでいるという声もありました。こういった方々においても、やはり健康を意識して飲んでいるということが、このデータから見ることができると思います。例えば、きなこに混ぜて飲んでいるとか、コーヒーに入れて飲む方が多くいらっしゃいますが、中には豆乳に混ぜて飲むという方もいます。
牛乳を使ってどんな「料理」を作っていますか?
牛乳を使った料理ということでは、シチューやグラタン、中にはミルク粥とか、それからこれはまさに乳和食の一つの例ですが味噌汁に入れる。そういった形で牛乳を料理に使うといった声がありました。高齢の方々に関しては、本当にいろいろなご意見をいただいています。
ヨーグルトを使ってどんな「料理」を作っていますか?
これはカレーとか、シチュー、タンドリーチキン、それから特に野菜とかに混ぜて食べるとか、煮込み料理に入れるとか、そういった声が聞かれました。
バターを使ってどんな料理を作っていますか?
例えばじゃがバターですとか、バター炒めなどのような定番料理を含めて、様々な料理が聞かれました。
バターを使ってどんなお菓子やパンを作っていますか?
お菓子とかパンが多いですが、やはりいろいろな世代の方々にわたってご意見をいただいていまして、バターを幅広い世代でご利用いただいていることが明らかになりました。
生クリームを使ってどんな料理を作っていますか?
ケーキやデザート類、それから料理などに生クリームを入れているといったご意見もありました。