- 講演後の質疑応答 -
- Q1.150年の歴史というのは、私も、こんなふうになっていたのかというのを知らないこともたくさんあったのですごく勉強になったし、おもしろかったです。
最後の低温殺菌の話のところで、低温殺菌は味の追求という点でいいと言われ、流行ったのじゃなかったかなと思ったのですけれども。安全性は低温殺菌でも高温急速殺菌でも一緒ですよね。でも、飲んでみるとそれほど変わらないのではないかということですが、そのあたりいかがでしょう。 - A1.
- 1970年の自然食ブームのときも、味に関してはそれほど言及されなかったです。高温急速殺菌だと、ビタミンと栄養素が破壊されるという話が中心でした。低温殺菌のほうが高温殺菌よりおいしいとは言っていましたが、どこがどう違うか、詳しく説明されませんでした。
- Q2.関連してですが、味ということからいうと、私はやっぱり、牛乳や乳製品を扱う特に西洋料理の場合、これはもう、バター、生クリーム、牛乳というのがむしろ味の決め手じゃないかと思います。ですから、例えば有名シェフのレストランなんかで食べるお料理がおいしいとかというのを見ていると、とにかくバターや生クリームを使いますよね。ですから私は家庭料理でも、西洋系の料理を自分でつくると、バター、生クリーム、牛乳というのは絶対欠かせないとか、アジア系だとココナツがやっぱりおいしさにすごく結びつくと思いますが、そのあたりが日本ではあまり言われていないんですかね。
- A2.
- おっしゃるように、バターと生クリームと牛乳は西洋料理に欠かせません。私は西洋料理の本をたくさん作っているので、シェフたちの材料選びの話もよく取材していますが、バターはどこのこういうもの、生クリームは乳脂肪何%で、どこのメーカーと、皆さん必ずこだわっていらっしゃいます。ただ、そのわりに、牛乳に関しては誰も何も言わない必ず使う材料なのに、どこのこういう牛乳というこだわりと持っている人はいない。
料理より牛乳をさらに使うのは洋菓子です。パティシエも、生クリームには強いこだわりがあって、色まで細かく言及するのに、牛乳はぞんざいな選び方をしている印象です。
牛乳は恐らくメーカーなり種類によってそんなに違いがなく、例えば、カフェオレなど、最近はラテ系のドリンクがとても人気で、抹茶とも合い、ほうじ茶とも合う副材料として牛乳は欠かせないけれども、単独で牛乳自体を味わうときのおいしさを語られることは少ないと感じました。
- おっしゃるように、バターと生クリームと牛乳は西洋料理に欠かせません。私は西洋料理の本をたくさん作っているので、シェフたちの材料選びの話もよく取材していますが、バターはどこのこういうもの、生クリームは乳脂肪何%で、どこのメーカーと、皆さん必ずこだわっていらっしゃいます。ただ、そのわりに、牛乳に関しては誰も何も言わない必ず使う材料なのに、どこのこういう牛乳というこだわりと持っている人はいない。
- Q3.ありがとうございました。畑中さんは、牛乳自体の素材そのもののおいしさというのはどこにあるとお感じですか。
- A3.
- 私は、母の母乳が足りなくて、生まれたのが、ちょうど粉ミルクに対する不信感が抱かれていた時期なので、哺乳瓶に入れた牛乳で育ったらしいです。ですから牛乳だったら何でも好きですけれども、やっぱり、噛んで味わうと言いますよね。ゆっくり飲んだときに香りがいいものが好きですね。
味自体にはそこまでこだわってないですね。牛乳であれば何でも好きなので(笑)。
- 私は、母の母乳が足りなくて、生まれたのが、ちょうど粉ミルクに対する不信感が抱かれていた時期なので、哺乳瓶に入れた牛乳で育ったらしいです。ですから牛乳だったら何でも好きですけれども、やっぱり、噛んで味わうと言いますよね。ゆっくり飲んだときに香りがいいものが好きですね。
- Q4.香りというのは私はそれほど意識したことなかったのですけれども、そんなに違いがあるものですか。
- A4.
- 低温殺菌のほうが高温殺菌より焦げ臭がなくておいしいとよく言われますが、高温殺菌に慣れてしまっているので、低温殺菌のさらっとしたタイプを飲むと、個人的にはちょっと物足りなさを感じてしまいます。
- Q5.そういう、何にでも相手に合わせて引き立てる料理のときには牛乳は欠かせないけれども、牛乳そのものを売るときに、おっしゃるようにワインだとかそういったような、そのもので飲むときの個性を出していく必要がもっとあるとお考えですか。
- A5.
- そうなんです。言説があまりにもなさすぎる、何でおいしさについて語らないのか疑問です。例えば「おいしい牛乳」という商品がありますよね。パックに記載された説明を読んでみても、酸化を防ぐとか安全性とか鮮度ばかりに言及されていて、肝心のどこがおいしいのか、わからないんです。
- Q6.うちの家族はみんな牛乳を飲みますけれども、すごくうるさいのが1人います。小さいときから自分で料理をするのが好きで、牛乳に合う料理、合わない料理を自分なりに工夫してやっているのですけれども、飲む牛乳以外に、料理に使う牛乳はものすごく大事だと思っているんです。料理本でも、牛乳を使った料理というのは部分的には出ていても、特別に牛乳を使った料理本というのは出ていないですよね。附属物としての存在であって主役にはならないのかなと思ったのですけれども、いかがでしょう。
- A6.
- 料理本を調べてみたところ、1960年に『牛乳料理五〇〇種』という本が刊行されています。戦後から高度経済成長期は、牛乳を料理に使うことが今より盛んに奨励されて、料理の先生たちが一生懸命考えていたようです。500種も考えるのは難しいですよね。
- Q7.和食に合わないかなと思って、おでんに入れたんです。初めはみんな、ぎょっという顔をしていましたけれども、結構消費されましたね。はんぺんが一番消費量が高かった。だから、入れるものによって、すごく合うのと、ちょっと遠慮したほうがいいかなというのがあるのかもしれないですね。でも、牛乳って割と何でも合うと思いますけれども、いかがでしょうか。
- A7.
- 合いますよね。私は、シチューに合う牛乳とか、グラタンに合う牛乳とか、料理別にその料理専用の牛乳が開発されて売られるようになるとすごくいいと思います。
- Q8.味絡みで思い出したことがあって。私は以前、食品メーカーの嘱託を20年ほどしていたことがありまして、その当時にそのメーカーが出した製品で、水だけでつくれるということを謳った製品があったんです。私たちの仕事はそういうことに対して意見をいろいろ述べる立場だったものですから、どうして水だけで作れるなんていうことを謳うんだと言いました。つまり、その製品は牛乳を入れればものすごくおいしくなるんですよ。例えばキャンベルのポタージュなんかもみんなそうですよね。半分の水で伸ばすのと、半分の牛乳で作るのとでは全然違いますよね。だから、そうやって考えて、やっぱり牛乳の味はおいしいんですよね。ということを思い出しました。
- A8.
- そうですよね。プリンミクスが60年代に発売されましたよね。あと、シチューミクスも。売り文句は、「水でできる」でしたけど、当時はまだ牛乳が高かったということですよね。箱をよく見ると「牛乳でつくるとよりおいしくなります」なんて書いてあったりして(笑)
- Q9.今日はありがとうございます。とてもおもしろく拝聴しました。いろいろお伺いしながら思い出していたのですけれども、やっぱり牛乳は、味はちゃんと違いがあると思います。というのは、ヨーロッパでも、山岳地帯だ、平原だと、牛の種類が違いますものね。そして、その牛の食べている草とかハーブとかによって、季節によっても違いますでしょう。だから、本当はもっと牛乳の味というのは、追求すればきっと違いがあると思うんですね。
そして、この間、日本人の方でフランスでもたくさんプリ(prix)をいただいていらっしゃるチーズ屋さんのスタジオに行きましたら、裏のほうは全部、ジャージー牛を飼っていらして、クリーム系のチーズは必ずそれで作る、それにすごく誇りを持っておられました。ですから、やっぱり牛乳そのものは、よく味わうほうが結果につながると思います。
おかゆを牛乳で作るなど、単純なものほど材料の味がわかりますよね。そんなことを思いました。 - A9.
- そうですね。ありがとうございます。
- Q10.和食に牛乳というのがどんどん増えてきている感触はありますか。
- A10.
- 一番簡単なところで、みそ汁に牛乳を少し入れるとか。みそと牛乳は合うと思います。
- Q11.ありがとうございました。大変おもしろく伺いました。日本人にとってチーズはそんなに親和性のあるものだったと思えないんですけど、チーズケーキ以来、ずっと長い時間チーズがそれなりに定着をしていっているというのはよくわかる感じがするんですが、先生はそれに何か理由を感じられますか。
例えば牛乳なんかは、日本は、大昔はともかくとして、どちらかというと牛乳は飲まなかったけれども、定着しているほうだというふうに見ていいんでしょうか。 - A11.
- 牛乳はやっぱり、学校給食によって定着したと思います。チーズが戦後、1960年代に消費量が年々上がってきたというのは、給食で小さいのが出て、それで味を覚えた子どもたちが消費を先導したのではないでしょうか。
チーズケーキに対する嗜好と、とろけるチーズへの嗜好が支えていて、西洋人のようにチーズだけでむしゃむしゃ食べているかというと、そこはまだまだ消費量は少ないですね。ただ、国産チーズのつくり手が増えてきていて、この5~6年、日本の手づくりチーズの文化が急に注目されています。人の顔の見えるチーズというんですか、生産者が牛や山羊を飼うことから始めて、乳を搾り、製造から熟成までを一貫して行うチーズが、少しずつ注目されていると思います。
- 牛乳はやっぱり、学校給食によって定着したと思います。チーズが戦後、1960年代に消費量が年々上がってきたというのは、給食で小さいのが出て、それで味を覚えた子どもたちが消費を先導したのではないでしょうか。
- Q12.非常に短い牛乳の歴史と、駆け足でおもしろかったです。牛乳の歴史というのは人類史でいったら非常に古いですよね。ですから、否定することはできませんね、私たちは哺乳類ですから。だけど、今日の結論でもありましたけど、牛乳を発酵させて加工するラインは全然問題ないけれども、ストレートに飲む飲用が何でこんなにいろいろと批評の対象になるか。それは、いい方もだし、悪い方もだし、都合のいいことも、まだわからないことも、今ごっちゃになっていますね。栄養素を添加したり、色物系というのもありますが、もっとストレートに、安全に安心に、味とか香りとかのクオリティーを全面的に出した牛乳の売り方はあるんだなというのを今日感じました。飲用乳の進化バージョンをもう少し早く検討しなくてはいけないという宿題をいただいたような気がします。ありがとうございました。
- A12.
- おっしゃるとおりと思います。
- Q13.ホモ牛乳が子どもに大変人気だったというのは、キャラクターが受けたのですか。何が受けたんだろうと。
- A13.
- ホモ牛乳は、当時、完全栄養食品として人気があった牛乳の中でも、このキャラクターがかわいくって受けたんです。「ぼくはホモちゃん」というCMソングが全国のラジオで流れて人気を得た。瓶にただ牛乳と書いてあるより、ホモちゃんが印刷された瓶が欲しくて、この瓶から飲みたくて、子どもたちがホモ牛乳にかえてもらったという思い出を、この当時子どもだった人たちから聞きました。それで、子どもだけかと思いきや、この下にあるように大人の健康飲料としても人気を得たという例で、ちょっと笑ってしまうのですが、この図版を入れました。
- Q14.レジュメの最後は「それでは牛乳は?」とクエスチョンで終わっていますけれども、これから受けるのはどういうところに着目したものとお考えになりますか。例えばさっきおっしゃったような、牛乳ができてくる背景のストーリーなのか、あるいは、やっぱり健康というところに今まで考えられなかったような何かを考え出してつけるのか、何かちらっとお考えのことがございますでしょうか。
- A14.
- 先は読めないのですけれども、今おっしゃったように、飲料牛乳の新しい展開があるといいなと。あと、料理用牛乳、料理専用牛乳というのができるといいなと、消費者として思っています。例えば生クリームを1パック買っても、余ってしまうんですね。だから、生クリームより脂肪分が少なくて、でも、生クリームを入れないとコクが足りない料理のときに、この牛乳があればオーケーみたいな製品が開発されると、どんなに便利だろうかと。1回で使い切れる量で売ってくれたらいいなと思います。
- Q15.協会のどなたかに聞きたいのですけど、個性的牛乳の開発というか、この先、個性的な香りだとか味だとか、それから今の料理に適性をいろいろな段階でやるというのは、乳等省令との関係で現実味はあるのでしょうか。
- A15.
- なかなか難しいところです。牛乳というのは、何も足さない何も引かないという、そのものが「牛乳」として種類別で売られるわけですから、そこに何か手を加えると牛乳ではなくなってしまう。要するに加工乳とか乳飲料だとか、そういうものであれば可能性はありますが、牛乳だけで何か特徴を出していくというのは、例えばさっき言った牛の違いとかそういったものではあるのでしょうけれども、それ以外で料理用の牛乳をどう加工していくかとなると、今の乳等省令上ではちょっと難しいのかなと。殺菌温度とかなどは変えられますけれども、そうするとさっき言ったクッキングフレーバーがつくとかつかないとか、低温殺菌だとフレーバーに新鮮味が出てくるとか、そういった意味では差は出ますけれども、大きく差をつけて出すのは難しいのかなと思います。
- Q16.私は、牛乳は日常的に生活の中に入っている基礎食品という状態になっていますので、おいしさを追求するとかいった意識が日常的にはありませんでした。それで、今日お話を聞いて、味とかそういったもの、飲料としてのおいしさを求めていけたらいいなという先生のお話を聞いて、「あっ、そうなんだ」と思ったんです。
昔の知識でいうと、おいしさというのは多分、乳脂肪が多いとおいしく感じるんだろうと思っていたものですから、乳脂肪が多いものはあまり摂りたくないというのが同時に意識としてあるので、嫌いでなければ、今の味でよければ、おいしさを追求しなくてもいい飲み物だというふうに今の今まで捉えていたものですから、そうじゃなくてさらにおいしさを追求していくというお話は新鮮に聞こえました。 - A16.
- ありがとうございます。
- Q17.スライドの20ページのところで、70年代にホルモン剤とか抗生物質の問題があってこういう指摘があったという、歴史の中で何度かこういう指摘があり、また最近もさまざまな理由で否定をする言説が繰り返しあるというお話でしたが、最近、例えば抗生物質とかホルモン剤に関する専門医の翻訳本などを読みますと、アメリカなどでも、乳牛に与えるホルモン剤、抗生物質に対して消費者は非常に懸念を持っていて、ヨーロッパとかオーストラリアなんかはそれを与えないようにしてきているらしいです。『TIME』の「Eat Butter」やデイヴ・アスプリーさんの話を見ましても、バターについてはすごく健康を意識して書いていらっしゃる。牛乳に対してはホルモン剤とか抗生物質の影響とか懸念については今どんなふうに考えられているのか、もしご存じだったら教えていただきたいのですが。
- A17.
- このシリコンバレー式の健康本では、農薬や薬品を一切使わないような食品が推奨されていました。この本がバターの食べ方として推奨しているのは、「バターコーヒー」という形です。朝食をバターコーヒーで摂れば、最強の食事になるという説なんです。コーヒーも安全性第一で、農薬を使わず、残留のカビがないものを選び、グラス・フェッド・バターも農薬を使わない牧草を食べた、もちろん薬品なども使っていないものを選びなさいと書かれています。日本ではなかなかそこまでは手に入らないので、今はグラス・フェッドというだけで売り文句になっている状態です。
- Q18.グラス・フェッド・ミルクというのはないんですね。
- A18.
- 同じくシリコンバレー式では、牛が穀物でなく100%牧草で飼われていれば、ヘルシーな脂肪とより多くの栄養があり、低毒素のミルクが搾られる。また、搾ったまま何も加工されていない生乳は、一般的な牛乳より栄養的にすぐれていて、善玉菌が多い。低温殺菌でも善玉菌が全滅して、ホモジナイズという工程も乳脂肪を損なうので、ノンホモでグラス・フェッドの生乳が最善の選択だと言っています。
- Q19.今のホルモン剤とか抗生物質とかの話は結構政治的な問題で、安全性と基本的にはあまり関係しない、というのは、ホルモン剤を与えていても、出てくる牛乳に対しての安全性はきちんと調べられていて、大丈夫というものしか基本的には流通していないものですから、日本では無農薬のものが手に入らないとかは気にしなくてもよいのでは。海外でも、アメリカなんかは日本と同じようなものが流通しているはずですので、有機のものがアメリカは多いというのもかなり誤解があると思います。もちろん、シリコンバレー式の人はそういうことを書いているかもしれないですけど、この人の言っていることが本当に正しいのかというのはちょっと、私は読んでないのですけれども、微妙にどうなのかなというところもあるなと、今お話を伺って思ったものですから。
一応、安全性ということでは食品安全委員会か何かがホルモン剤についてもきちんと検証していますので、それがだめと言うのは牛乳否定本の人たちと同じようになってしまうので、そこはちゃんと調べられたほうがいいのかなと。 - A19.
- この本にはそう書いてあったということをお話ししたわけで、私の意見ではないです。ホルモン剤とか抗生物質に関しては、今現在、日本では使ってはいけないんですよね。耐性菌の問題があるからこれは使用してはいけないという薬品が決められたというニュースを最近読みましたけど、恐らく、特定の薬に関して禁止されたりしていますよね。
- Q20.ホルモン剤についてはどうなんですか。
- A20.
- (日本乳業協会から回答)
ホルモン剤については、アメリカなどではBSTというものを使用して生乳生産を増やすということをやっている例があるのですけれども、日本ではBSTそのものが使えないので、つまり誰も使用していません。申請すれば使えるようになるのかもしれませんけれども、BSTを使おうと考える人が誰もいないので、日本では使われていないということです。
それから、農薬に関しては、すべてポジティブリスト制度の対象になっていて、あらゆる農薬の残留基準値が決められていますので、それを超えるようなことはないように管理されております。
抗生物質については、もちろん治療には当然使わなければならないので、乳房炎になったときには乳房炎軟こうを乳頭から注入して治療に当たるわけですけれども、必ず休薬期間が決まっています。だいたい1週間くらいは出荷できなくなっていて、乳に残留しなくなったら出荷できる、こういう仕組みになっていますので、日本の生乳は非常に安全に管理されているということです。
- (日本乳業協会から回答)
- Q21.なぜアンチ牛乳論が出てくるんでしょうか。それについて何かお考えがあったら伺いたいです。
- A21.
- これは本当に、どうしてみんなこんなに感情的になるのか、すごく謎です。アンチな人たちは、子どもが、特に戦後は給食で強制的に飲まされてきたと捉えているわけですね。それに関する陰謀論まであるんです。アメリカの飼料・穀物戦略のために、日本人は牛乳を完全栄養食品だと信じ込まされてきたとよく言われています。激しいアンチ牛乳論の背景を考えると、やっぱり、母乳の代替物だったり、子どもの成長に欠かせない保健飲料だったりと、あらかじめ母性的な性格を与えられたがゆえに、その期待を裏切って、母性に反する、子どもに害を与えるようなことを牛乳がしたときに、絶対に許せないという感情的な論になってしまうのではないか。そう私は思っていますが、答えはなかなか出ません。