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第83回 TPP農林水産物市場アクセス交渉の結果

牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

バターの安定供給について
資料8:バターの安定供給について

この機会を利用させていただき「バターの安定供給」のお話を致します。
資料8ですが、9月25日に農水省、Jミルクという業界団体が発表したバターの需給見通しです。今年度はバターのさらなる追加輸入は行わないと判断したプレスリリースです。

バターの販売重量(POSデータ)
資料9:バターの販売重量(POSデータ)

資料9をご覧下さい。これはバターの販売重量(POSデータ)のグラフです。赤線が平成26年度のバターの販売重量で青線が平成25年度のもので、時系列で示したものです。これを見ますと10/12から12/7の期間ですが、特に平成26年度は販売が非常に多くなっています。昨年の今頃ですが、新聞等でバターが不足しているのではないかといった報道がありました。それ以降消費が増えました。併せて、業者の方が業務用バターの品薄により家庭用バターを量販店等に購入しに行ったのではないかと推測されました。その原因として、一昨年の夏が暑く生乳生産が思わしくなく春先以降まで生産が不安定でした。そのためバターに使用する生乳が不足したことで生産量が減っておりました。その状況の中で販売が伸びていったのです。

家計消費によりますとバターを1人が1年間に食べる量は平成26年で159g、平成25年では171gです。200gのバター1箱を1人が1年間では食べきれていません。4人家族でも年間3箱程度の消費です。バター不足の報道から1箱余分に購入したり、業者が家庭用を購入した購買行動によって販売重量が増える消費となっています。
一方、グラフで年明け時期になると平成26年度より平成25年度のほうが販売重量が多くなっています。家庭内で在庫となっているのではないでしょうか。
去年を振り返ってみますと、在庫の増減がなく年間を通すと不足な状態は無かったと言えるのですが、一定期間で区切って販売重量を見ると非常に売れた時期と売れなかった時期があります。

このことから、国や業界の反省点として消費者や業者の方に状況をご説明していたと思っていましたが、その努力が足りなかったと思っております。全体ではバターは足りていますとか、商品は何時入荷しますといった情報をきちんとご提供すべきだったということが大きな反省点でございます。
昨年は追加輸入をしたわけですが、実際にバターが輸入されたのが11月末でしたのでクリスマス時期の最需要期に間に合わなかったのではといったご指摘がありました。併せて、輸入しているバターは25kgの大きなもので、ケーキや菓子店といった業者の方にとって大きすぎて使いづらいということもあり、輸入する形態も考えた方がよいといったことが去年からの反省でございます。

平成27年度におけるバターの国家貿易による輸入の方針
資料10:平成27年度におけるバターの国家貿易による輸入の方針

以上を踏まえて資料10のご説明になります。
この資料は平成27年1月23日に公表した「平成27年度におけるバターの国家貿易による輸入の方針」の文書です。
バター不足に対応するための運用改善です。(1)ではバターを輸入される方にとって輸入が何時行われるのかわからないと計画が立てづらい、海外のメーカーと輸入の商談をすることが難しいことがあったので平成27年度は1・5・9月に輸入を行うかどうかの判断を下し公表すること、また引き渡し時期を遅くとも10月までにすると変更した内容です。

バターの種類など
資料11:バターの種類など

資料10の(3)のご説明ですが資料11をご覧下さい。バターの種類を掲載しています。
バラ・ポンド・家庭用とありますが重さ・大きさによって違いがあります。バラは工場向けとなっています。この形態が世界的に貿易で流通されています。しかし、大きいため実需者である洋菓子店さんですとかが使いづらいわけです。そこで、1kgから5kgのものも輸入することとしました。今回、初めての試みです。
情報共有・発信ですが消費者や実儒者に対する情報発信が少なかった反省から平成27年度以降、需給状況について行政・メーカー・乳業団体が一丸となって情報提供をしていくように運用を変えました。

資料8を再度ご覧下さい。

バターの安定供給について
資料8:バターの安定供給について

1・5・9月に輸入するかどうかを判断するとお話をしました。1月に2,800トン、5月に10,000トンのバターを輸入すると発表しました。併せて形状拡大した1~5kgのものも2,300トン輸入する決定をしました。

平成27年度のバターの需給見込みについて
資料12:平成27年度のバターの需給見込みについて

資料12をご覧下さい。
平成27年度のバター需給見込みについてです。今年度は輸入を12,800トン実施したことと併せて生乳生産が回復しております。表の生乳生産量の27年度見込みを見ると北海道・都府県ともに生産はプラスの見込み。全体で+0.8%が見込まれます。25年度、26年度ともに生乳生産量はマイナスでした。生乳生産が回復する中でバターの生産は今年度見込みで65.9千トン(前年比+7.0%)です。
そうしますと、生産量の増加と輸入量を加えると78千トン程度国内にバターが供給される状況になります。一方消費量は75.2千トンで今年度は十分供給可能な状況です。
3月末の在庫見込みですが前年に比べて21.4千トン(前年比+19.9%)増加する情況です。

10~12月における主要乳業メーカーによるバター(※1)の供給計画
資料13:10~12月における主要乳業メーカーによるバター(※1)の供給計画

資料13をご覧下さい。
10~12月に乳業メーカーとしてのバター供給計画の表です。平成27年度計画の約1万トン強の物量は平成26年度比108%となります。平成25年と比べますと94%ですが今年度の輸入量を加えると107%となります。従って今年後半以降のバターの需給は輸入と合わせますとこれ以上追加で輸入しなくても問題は無いということから、9月25日に追加輸入しないという結論になりました。

今年も10月後半になり需要期に入ってきております。牛乳乳製品課としましては乳業協会やメーカーと情況を把握し、問題が発生すれば対応して頂くようにお願いすると伴に販売重量が異常値とならないか見ていきます。また、いろいろな機会で小売の方、実需者の方々と情報交換を定期的に行っております。
消費者の方は家庭用のバターについて国産の志向が強いため、先ずは生乳生産を回復させることが最も大事なことだと思っております。そのことについて国としてもきちんと予算措置をすることで今後とも生乳生産を回復できるような取り組みをやって行こうと思っております。

消費者の皆様にまだまだ情報提供が足りないというご指摘もございます。私たちとしてもあらゆる機会で消費者の方に情報提供しコミュニケーションをとれるようにしていきます。また、関係団体ともイベント等を通じて様々な場で情報提供をして行きたいと考えております。皆様からのご意見、ご要望を今後とも頂戴していきたいとも思っております。