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第78回 北海道の酪農の現状と今後の方向性

牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

- 講演後の質疑応答 -
Q1.大規模経営のメガファームとかTMRセンターと言った、共同で飼料の調製・供給を行なっていかなければ、生き残れないことは理解する。そのリスクはどのようなものなのでしょうか。
A1.
  • 府県には、TRMセンターがあまりないのは、人と人の関係だそうです。要するに、自分は自分の経営だから全てを自分でやりたいというのが、府県の酪農家の考え方だそうです。北海道の酪農と、どこが違うのか。府県の酪農は歴史があります。酪農は大きな土地を必要としますから、大規模の酪農家は地主さんが多い。府県の酪農家の方々は、非常に独立心が強い。ところが、北海道は近々140年前の明治維新により、余剰となった士族の労働力をどこに向けるかといことで、屯田兵制度ができ入植が始まった。これが最初です。2回目は戦後です。焼け出された人々を組織して、北海道で農業に従事させることで入植させた。炭鉱もそうです。北海道は全員移民なんです。全員が新天地に何らかの形で移民してきた。1人で入植する人は殆ど無く、移民団をそれぞれの地で組織し、皆で入植して協力して今の北海道を作って来た。お互いに協力し合うということが普通にできる。このDNAが今でも残っている。先程のTMRセンター等は、仲間割れしたらリスクは大きいのですが、起こらない。自分の農地を他人に預けることを嫌う人は、府県では多いと聞きますが、北海道人は厭わない。最も大きく違うのは、北海道では、離農する場合は農地を売って行きます。府県の場合は、先祖代々ですから離農しても土地を売りません、土地を貸すことになります。貸す場合、借り手は条件の良い土地の部分だけを借りて、他は借りない、この借りなかった部分が耕作放棄地になります。北海道では全て売っていくわけですから、買い手もその土地を何とか収益を上げようとして、全部を耕作することになる。このため、耕作放棄地がでない大きな理由です。この度、農地保有の問題で中間管理機構ができました。これは、地主は農地を売らないため、その土地を使う人に貸す機構です。規制改革会議の肝いりでできました。都府県では効果的だと思います。北海道では今まで通り、売ることで所有権を渡して、買い手は農地を自分でやっていくと思います。私は、北海道のDNAがこういう協業の形態でも、上手く機能させていると考えています。
Q2.沢山ある有識者懇談会と現場との乖離の問題。現場に携わっている人々と政治力との間、つまり、様々な有識者会議と呼ばれるような間でどの様な交渉をして行くのか、つまり日本の国内での交渉をどの様にやっていくのでしょうか。
A2.
  • 産業競争力会議を含めた諸会議がどういった指向で動くのか、私共のような現場関係者が確固たることは言えませんが、ひとつはっきりしているのは、我々も多少ボヤっとしていた。ボヤっとしていたところに、外からカンフル剤が入ってきた、これをいかに利用して次の「絵」を皆で書いていくかです。実際書くのは、政府に関することは与党に影響力がありますし、実際に法律を改正していくのは農林水産省になります。我々は、そちらとも十分に意見交換しながら現場を直接見てもらって、実は農水省の酪農畜産部門の方々は、毎年北海道に視察にこられ、我々より実情に詳しい方々もいらっしゃいます。こういった方々が現場を見ながら次の事を立案していただきたいと考えますし、強く希望したい。酪農の規模拡大をどう進めるかについても、国の関与が絶対必要です。きちんとしたデータからこうなっていく道筋を示しながら、今後に目を向けて下さいということをやっていきたいと考えます。
Q3.北海道にニュージーランド企業が進出の動きがあるが、北海道はどのように受け止めているのかお聞きしたい。
A3.
  • ニュージーランドはもともと国が酪農をやってきた。最初にやっていたのは羊毛なのですが、他の国々が進出することで、羊毛の値段が下がって来た時に酪農を始めた。それまではニュージーランドも日本と同じように大きな農林水産省があり、そこで酪農の政策をやっていたのですが、民営化して地元の農協を合併させて拡大し、現在では97%位が1つの農協になっています。そこに農水省に勤めていた人々が、民営化により農協に入ってきたことで、いまや世界市場の6割位を握っている影響力のある会社となった世界に冠たるフォンテラも、農業協同組合の1つなのです。日本にはフォンテラジャパンという会社がありますし、アジアの中心は北京にあり、世界中に十数カ所あります。ニュージーランドは人口が400万人しかいませんが、日本の3倍の生産がありますから、生産物の殆どを輸出できる。それを利用して大きくなってきた会社です。フォンテラ社とホクレンは交流があります。実際に、フォンテラ社が北海道に来て農業ができるかというとできますが、北海道には余った農地がなかなかありません。この問題が一番大変でしょう。フォンテラ社は、中国でも南米でも牧場を経営しています。世界のいろいろなところに適応する酪農のやりかたを知っている訳です。ニュージーランド型でなくても対応可能だと思います。ただし、今の段階では北海道で酪農をやるのは、我々のほうがよっぽど上手くやれるだろうなと思います。もし、フォンテラ社が北海道に入ってくるのであれば、一緒にやっていこうかといことになるかもしれませんし、あるいはそうならないかもしれません。今のところ、現地法人のフォンテラジャパン社も詳細は理解していないようです。今後、詰める必要があると思います。フォンテラ社の良い技術は我々も欲しいため、そこはしたたかに利用させてもらいたい。(その後の新聞報道で、牧場を作るのではなく、放牧酪農普及の協力をしたいということが判明しております。)
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Q4.最近、学校給食から牛乳を廃止する動きが一部自治体であるが、そのことについてどのように感じるか、そして我々のようなジャーナリストにどのようなことを求めますか。
A4.
  • この問題は、ある地方自治体で起こったことですが、学校給食、特に生乳生産についてのお話をしたいと思います。
    先ず、中国では学校給食がなぜ始まったか、生乳生産がなぜ起こったのかをお話します。1998年に北京オリンピックの開催が決定し、金メダルを40個以上獲得する目標を掲げてしまった。まだ、開催までに10年以上の期間があったため、青少年の体位、体力の向上を図らなければならない。その時のアジア諸国の平均身長・体重、たとえば小学6年生や中学生のデータを収集しました。その際、日本は非常にデータの整備された国で、各年代のそういったデータが揃っていた。中国は、そのデータから調査したそうです。結果、2㎝ほど日本のほうが同じ年齢だと伸長が高かったそうです。この原因を調べたところ、学校給食のミルクが一因としてでてきた。それでは、何とか飲まそうと酪農振興をいきなり始めた。今、中国は3000万t、日本は800万tですから3~4倍の生産になっています。それが今、学校給食の形で消費され、子供たちの体力・体位の向上に役に立っているといのが中国の現状です。そういった事例をもう一度考えたときに、日本で学校給食を止めたらどうなるのか、2020年の東京オリンピックはどうなるのか。是非、皆さんにこういう話を取り上げていただきたい。小魚で補給はいいのだと言った方の栄養知識はどうなっているのかも、取上げて頂きたいと思います。乳業メーカー、Jミルクもこの問題に取り組んでいらっしゃいますが、頑張って頂きたい。これ以上、この問題が拡がらないことを強く望んでいますし、委員の皆様には是非影響力を行使して頂きたいと思います。
Q5.北海道の酪農の現状で高齢化、労働力が減っていく。北海道の酪農が減少傾向の要因に、牛乳の需要が減っていることも影響しているのではないか。この問題も高齢化とかかわっているのでしょうか。
A5.
  • 高齢化による需要減は当然有るはずですが、実は、日本は需要の形が変化してきている。牛乳とヨーグルトを比較します。ヨーグルトは売れています。牛乳はやや減り気味です。これより更にチーズが売れている。日本の牛乳の消費と言うのは、搾っただけで何も手を加えていないものから、乳業メーカーが菌を選んで身体に効果が期待されるヨーグルトを作り、更に、チーズは本当においしさを追求する技術を日本の乳業は世界一持っています。このことが功を奏して、高齢の方々も沢山消費して頂いているのも、日本の消費の形だと思います。日本は高齢でありながらも、消費の落ちない数少ない国ではないかと、統計等をみると私は思います。この面での乳業メーカーの努力は、更に必要です。アジア全体があと20年もすると高齢化を迎えますので、日本の乳製品の技術はグローバルなものになっていくと思います。
Q6.日本の人口が、1億3000万から将来8000万人に減っていくとしたら、人口当たりの耕地面積は逆に増えて行く訳ですが、その点についてもう少しお伺いします。
A6.
  • 人口が減ることで自給率は上がります。これは事実です。これは寂しい自給率の上がり方と言えます。今後、農地さえ減らなければ自給率は上がっていくことになります。ただし、自給率が40%から50%になるのは非常に遠い道のりです、勿論、人口が8000万人になれば50%になります。そういう、人口減によることではなく、北海道で取組んでいるのは、同じ面積の土地から如何に沢山収穫するか。こちらの方が我々が研究を進めているところです。ホクレンでは、育種という手法を使って新しい芋・米や麦を作る作業をやっています。一番の眼目は沢山収穫できること、その上で病気に強く、何よりも美味しいことを目指すことが、日本での自給率の向上の一番の方法だと思います。人口が減ることは、将来の需給に関しては非常に厳しいところです。そこで、輸出と言うことが重要なポイントになってきます。今も、LL牛乳の輸出を香港にしており、牛乳消費の5%位が北海道産です。こういった国を今後増やしていきたいと考えます。
Q7.酪農は牛1頭50万円、装置に何億円もかかることは理解しました。現在、個人経営から共同体経営に移行していますね。北海道の酪農は専業で兼業はないと理解しても良いのだろうと思います。収入の状況はどうなっているのか。高収入を上げられる産業ならば後継者は出てくると思います。なかなか後継者がいないという現状は、経営的に非常に厳しい状況なのかどうか、北海道の酪農が成長を見出すような成功事例かモデルがあれば、紹介願いたい。また、今後どのようなモデル、例えばニュージーランド、デンマークのような酪農形態を目指すのか方向性をお教え下さい。
A7.
  • 北海道の酪農家は6200戸位あり、ほぼ全員が専業です。ごく一部に畑作をやりながら酪農をやっている方はいますが、大多数が専業化していると考えて結構です。収入は平均的に、1戸当たり搾乳できる牛が80頭位、総頭数で120~130頭位いて、600t位の生乳生産を上げています。これですと、収入はだいたい5000万円、その他に牛を売買した、府県に乳牛を出していますが、これを含めて6000万円位が平均的です。これで800~1000万円が最後に残るような収益をあげたい。最低3人の労働力でです。これが現状です。こう言いますと、あまり儲かる商売ではない。今日はあまりこのことは触れなかったのですが、実は国際的な穀物相場がどんどん上がってきています。それにより買ってくる配合飼料が騰がっています。乳価も上げてもらったのですが、乳価アップと相場の上昇の追いかけっこが、なかなか厳しい。そういったことで、酪農家はまだまだ楽ではない。4月の乳価アップで一息つけて、それでは後継者の問題を考え直してみようかというところです。収入が一番多かったのは平成15年以前で、それ以降減り気味で、平成20年からは穀物相場が高騰し、ここから儲かった年は無いと言えるのではないでしょうか。この状況で、北海道酪農の成長モデルをどう考えたら良いかと言うと、世界中の酪農で例えば、6次産業で上手くいっているかと言うとそういうところは無い。6次産業でやっていこうという酪農家は百数十戸います。チーズを作っていますし、アイスクリームを作って牧場の前で売ったり、牛乳を作って周囲の皆さまに売っている。特にチーズを作っている方では、国際的な賞をとっている方も沢山います。しかし、あくまで本業の酪農で生計を立てて足りない部分を補う形であり、希少価値を訴求することで成り立っています。世界的にも酪農家はチーズを作ったりいろいろやってますが、やはり本業で、つまり生乳を生産しそれを乳業メーカーに売って生計を立てているのが共通した経営です。従って、成長モデルの良いものがあって、それを利用すれば上手くいくかと言ったら、そうではありません。今やっていることを更に合理化して、少しでも収益が上がるように努力し続けるしかありません。さらに初期投資が増えてきている現状で、酪農家の収支を圧迫する事業が牛の糞尿の対策です。これに非常にコストがかかっている。法律で垂れ流しは絶対駄目です。昔は酪農家の規模が小さかったため、それほど大きな影響は無かった。今は規模が大きくなったため、その処理にきちんと費用を当てなければならない状態です。それが、投資を大きくしている原因の1つです。1000t以上のメガファームを作ると、億単位の資金が必要です。それをバイオ発電で元を取ろうとしています。しかし、まだまだ、費用がかかることが沢山あります。北海道で一番始めに考えたのは、アメリカモデルで、その後がデンマークモデルです。両者の違いは、アメリカの酪農地帯であるウィスコンシン州あたりは、雪が少ない位で北海道と気候的には似かよっていて、デンマークはオランダと気候が良く似ています。それで、アメリカを取り入れたのですが、オランダやデンマークモデルも取り入れなければやっていけない。オランダ、デンマークモデルが志向しているのは、家族経営である程度の規模を経営できるということです。アメリカはメガファーム化が加速していって、企業的に大規模な酪農が多くなっている。投資をして、それを回収するという会社的経営になっています。北海道の土地の条件から考えて、これは難しいと考えています。
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Q8.肉で和牛の場合は、海外産と差別化ができているが、生乳の場合も、餌を変えることで日本独自の生乳を作り出せないのでしょうか。差別化ができてれば、海外市場に売り出せるのではないでしょうか。
牛乳・乳製品に限らず、クオリティの高い農産物について、例えばヨーロッパではAOPとかAOCという制度があります。スーパーでもそのシールがついたチーズやバターを売っていて、若い人たちもそのシール付を選んで買っています。北海道の農産物にもクオリティの優れたものとして積極的に前面に出して、北海道の歴史等を知らせることをしても良いのではないでしょうか。
A8.
  • 差別化についてですが、先ず、世界中に牛の種類はそう多くなくて、主だったのはホルスタインです。オーストラリア、ニュージーランドはそれ以外もいますが雑種になっていることも多く、完全とは言えませんがホルスタインとほぼ変わらない。ヨーロッパではブラウンスイスという茶色の牛がいて、これは肉にしても美味しい。この牛の乳は、味が濃いといわれています。牛の種類によって生乳は変わってきますが、大量にコストを安くすることではホルスタインに敵いません。これが世界の主流です。餌は、草だけがオーストラリア、ニュージーランドで、他では穀物と草を組合わせて与えています。例えばヨーロッパでは、トウモロコシより小麦を使います。このことが味に少し影響を与えています。オーストラリアに行かれて、現地の牛乳を飲んで美味しいと感じるだろうか。香港では、北海道産牛乳は、400円程度で売っています。輸出にお金がかかるからです。オーストラリア産は150円。香港では、日本産牛乳は5%のシェアです。日系人の人口割合は5%もありませんので、殆ど現地の方が買います。何故か、味が違うからです。輸出しているのは、ロングライフミルク(LL牛乳)と言い3カ月日持ちがします。私たちが飲んだ場合、LLではない牛乳の方が美味しいですが、それでも現地では美味しいと言われます。日本の生乳は牧草と穀物が上手くミックスされて、それが味に出る。従って牧草だけを餌にしたら、皆さんに飲んで頂けないでしょう。こういった微細な違いはあるかも知れませんが、例えば和牛のように霜降りがあって、味が普通の牛肉と全く違うといった明らかな差別化というのは生乳の世界では難しいと思います。牛乳の中で特殊な種類と言えば有機牛乳、それとnon-gmoという遺伝子組み換えをしていないトウモロコシを使った牛乳、放牧牛乳というなるべく放牧で飼育した、一年間で一定時間放牧しなければならない決めごとで飼育した牛の牛乳もありますが、何れも、味に直接影響を与えるかというと難しい。チーズに関して一つだけ言えることは、北海道では沢山の工房で手作りチーズが作られていますが、ヨーロッパ型の臭いの強いチーズは作れない。その理由の一つが、北海道の生乳の品質が良すぎるからだと言われています。つまり、雑菌が殆どゼロなんです。従って、味に関しては淡白だと外国の方から言われます。これも、あまり差別化にはなりません。
Q9.素朴な質問なのですが、「ホクレン」とは、何の略なのですか。
A9.
  • 正式には、「ホクレン農業協同組合連合会」と言って、創立以来95年になります。北海道の農協の連合体を意味しているので、略して「ホクレン」と昔から言っておりました。戦後になり、各県に一つずつ「経済連」という、農畜産物や肥料を取り扱って経済関係の連合会を作っていった時に「北海道経済連」という呼称になりました。「経済農業協同組合連合会」というようになりましたが、農家さんから分かりづらいと指摘され「ホクレン」で良いのではと言われました。そこで、名前そのものをカタカナの「ホクレン」に変えたのが、昭和32年位です。それから「ホクレン」を使い続けています。実態は、農業協同組合の連合体で各農協さんの傘下の農家さんが作った農作物の殆どを都府県に売っているのが仕事です。
Q10.JA全中の北海道支部と農協の販売は全農でしたか、その両者を兼ねていると理解して良いのでしょうか。
A10.
  • 全中は農産物の取扱いはやっていません。農協の指導をする仕事です。北海道にも北海道農協中央会があります。ホクレンは、全国農業協同組合連合会、全農の下部組織になります。
Q11.乳脂肪を段々高めにしてきた歴史があると思います。高齢化によって、乳脂肪の低い商品を好む傾向があると聞いていますが、その辺をどうお考えでしょうか。乳量を上げる努力をなさっていますが、乳量と乳脂肪を上げるとすると飼料がより必要になるのでしょうか。
A11.
  • 脂肪は太ると言いながら、カフェの飲物やコンビニのデザートには沢山の生クリームが使われています。日本は生クリームが非常に売れる国になっています。これは、日本人の味覚に生クリームが非常に合っていたといこと。諸外国では脂肪がどんどん敬遠されていて、脂肪の価値は日本より高くない。バターの値段も日本より安い。脂肪のマイナス面よりも、日本人はその味を好むのです。脂肪の需要は減っていないし、増えつつあると思っています。北海道では、牛の改良を進めていく上で、どの成分を増やしたいかというと、実は脂肪ではなくタンパク質です。これを増やすように努力していますが、なかなか思う様にいきません。デンマークモデルの乳牛と北海道モデルで、唯一負けているのがタンパク質です。餌の内容によるのかもしれません。小麦などを沢山使っているのかもしれないと思って、研究を進めています。ゆくゆくは高齢化を視野に入れて、脂肪を多く摂れない状況を狙って、タンパク質の塊であるチーズの改良を進めています。
Q12.飼料の問題で、北海道の飼料の自給率はどれ位でしょうか。
A12.
  • 自給率はだいたい50%で、牧草と国内で採れるデントコーンとマメ科の餌を若干使います。残りは、主にアメリカから輸入するトウモロコシや大豆糟です。ホクレンの牧場では、6.4まで国産の比重に持って行きたい。牧草を6、外国産飼料を4。その為には、牧草地をもっと改良していく必要があり、農家と進めています。6割まで持って行けば、輸入飼料の高騰の影響が少なくなると思います。
Q13.生クリームは北海道で殆ど生産していると伺いましたが、それは何か理由があるのか教えてほしい。
A13.
  • 先程申し上げたように、現在、需要が多いためにそういう傾向です。
Q14.生乳の出荷戸数が平成4~7年に減っていますが、原因はなんでしょうか。
A14.
  • この4年間は、減産をし続けた期間です。平成5年という年は、天候が悪くお米でもタイ米を輸入した年です。気候が涼しいと、牛は乳を多く出しますが、夏が暑くなかったから、牛乳の消費が減退し、生乳が余ってしまった。そのため、強制的な減産を農家にお願いした。結果、離農するなら今だと思われた方が多く出たことによるものです。
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Q15.林業の映画「ウッドジョブ」を見てきましたが、若者をどのように林業に就けようかというテーマでした。都会で大学受験に失敗した若者が三重県の山奥に行く、コンビニもない、携帯も通じない、逃げ出すにも乗り物がない。そこで一年間研修をする映画でした。北海道では後継者不足や人手不足解消に若者が食いついてくるような取組はありますか。
A15.
  • 人手不足や若者について、日本の人口構成から考えると、50年前と比べて今は若者の数が少ない。昔の若者の数を今揃えるといっても、人口的にも無理です。それを前提に考えることと、一方で酪農ヘルパーとか牧場従業員を集める組織はありますが、最も多い質問として「コンビニがあるか」という便利さを求めるのが若者の気質だとすると、昔よりもこの問題の解決は難しい。ですが、北海道には農学部がある大学は沢山あり、競争率も高く人が集まる。そういうことを厭わない若者も沢山います。そういう人に的を絞って我々も取り組んでいます。ちなみに、「銀の匙」という映画も封切りされて、農業高校を舞台とした青春映画です。東京で映画のセレモニーをやった際にホクレンでも参加し、北海道で酪農をやろうといったパネル展示と「酪農に来ないかい」という相談会もやりました。このような取組はまだまだ不足していますが、地元の市町村の取組も始まっています。それらを利用して年間酪農に新規に就業する戸数を30戸位から50~60戸に増やしていきたいと考えています。
- 参加者からのコメント -

●フランスのノルマンディーに取材に行った時に、酪農家の老夫婦が年金生活に入り都会のアパートに住むようになりました。酪農の後継者には酪農学校を出た若い男性2人に譲って行く。牛も牛舎も農具も全て彼らに残して、家もそのまま残して彼らに売る。それを若者がローンで支払いながら後継者として酪農を継ぐということを知りました。北海道でもそういうことができるようになると、問題解決の一つの手段となるのではないかなと感じました。