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第73回 牛乳・乳製品の最新の有用情報(生活習慣病関連)

牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

以上をまとめたものを次に示す。

調査結果のまとめ

この研究は、横断的研究で、ある1時点のみをみたもので、牛乳飲んだ人が痩せたとか、血圧が改善したとか時間的経過を見た研究ではない。
そこで、メタボリックシンドロームの人に牛乳を飲んでもらったらどうなるのかを調べるための介入研究を行った。
この研究結果はまだ論文として発表していないので簡単に説明する。
研究方法を以下に示す。

メタボリックシンドローム指標に対する牛乳・乳製品長期摂取の効果の検討ランダム化比較研究
研究方法

今回は、IT企業の方を対象に、もともと牛乳を飲んでいなくてメタボリックシンドロームの人を200人募集し、100人に6カ月間牛乳・乳製品を摂ってもらった。もう一方のグループ100人は牛乳・乳製品を摂らずに比較検討した。また、どちらのグループも栄養指導を行った。対象年齢は両グループともに41.7歳、BMIが26.8と27.2でややぽっちゃり系で、腹囲も85cm以上の人達が90%以上という集団である。
結果は、両グル―プ共に腹囲、血圧、血糖、体重、体脂肪率が低下した。牛乳・乳製品摂取群のみが効いたわけではなく、栄養指導の効果が出たために両方に良好な効果が現れた。
そこで対象者を体重に関し、比較的適正な方と過体重の方に分けると、適正体重の方に、牛乳・乳製品摂取による血圧低減効果が現れた。太っている人とそうでない人とは分けて結果をみる必要があると考える。正常な体重の方に牛乳をプラスすることで、血圧を下げる効果が現れたといえる。
運動量によっても違った結果が現れた。牛乳を飲むだけではなく、それに運動を組み合わせることで血圧がより下がることがわかった。

結果の要約
結果の要約
- 7. 牛乳・乳製品摂取による体脂肪減少のメカニズム -

牛乳を飲むことで、体脂肪が少なくなったり、メタボリックシンドロームの該当者が少なかったりしているのは、どのようなメカニズムになっているのかをみる必要があるが、まだわかっておらず、いろいろな仮説があるのが現実である。例えば、牛乳を飲むと満腹感が増加するため、食前に飲むと食べる量が減るという話がある。また、牛乳中のカルシウムと食事中の脂肪酸が結合するため、脂肪の吸収を抑制する、という意見がある。さらに、牛乳・乳製品やカルシウムを摂ることで基礎代謝が上がり、脂肪が積極的に分解され、筋肉量が増え、消費エネルギーが増え、このバランスにより体重が減る方向に動く等が候補として言われている。しかし、人ではまだ証明されていない。

牛乳・乳製品摂取による体脂肪減少のメカニズム

ただ血圧に関しては、牛乳のカゼイン等のタンパク質が分解してできるペプチドに、血圧を下げるものがあることがわかっている。ヨーグルトの場合、既にペプチドになっているものもあるため、血圧を下げる薬と同じ作用を持っている。ということから血圧を下げる成分が牛乳中にあることは確実である。

牛乳・乳製品と血圧

まとめると以下のようになる。

牛乳・乳製品と血圧
- 8. 牛乳・乳製品の摂取状況 -

牛乳・乳製品がこのようにすばらしい効果があることが証明されてきている中で、摂取量は上がってきているかを見てみた。
以下に示したのは、日本人の食事摂取基準の2010年版である。カルシウムは、30~49歳では1日650mg摂りましょうとなっている。一番たくさん摂らなければならないのが、12~14歳の中学生で男子は1000mgとなっている。中学生の年代はカルシウムをたくさん摂らなければならないことになっている。

カルシウムの食事摂取基準2010版
カルシウム摂取量と年次推移

以前から一つの目標として、「1日に600mg摂ろう」と訴えられてきた。しかし、この図は国民一人あたりの平均値の推移を示しているが、一度も600mgを超えたことがない状況を示している。1945年では250mg、ここからは戦後となり、脱脂粉乳が入ってきたことで上昇しているが、1970年位に550mg程度になった後、全く増えていない。

図18は、平成14年国民健康栄養調査成績より、女性の年令階級に対するカルシウム摂取量を摂取物由来に分類して示したものである。カルシウムをもっとも摂取しているのは、7~14歳で約700mgであるが、まだ十分ではない。これが15~19歳になると大きく減少する。摂取物別では、乳類由来のカルシウムが大きく減少している。これは学校給食がなくなることでその牛乳の分がなくなったことによる。学校給食の牛乳は非常に重要で、高校生までは増やす必要を感じており、あと一本の牛乳の必要性を指導している。

<図18>
カルシウムの食品群別摂取構成比 女性

20~29歳の女性、この時期に妊娠出産があるケースが多く、カルシウムをしっかり取らなければならない時期にも拘らず、最も少ないカルシウム摂取量になっている。その後、健康意識の高まりによると思われるが徐々に増えているが、増やすのであればもう少し早い時期に増やす必要があると考える。

ただ、日本のカルシウム摂取の特徴は、アメリカでは、70%が乳類になるが、日本では豆類、魚介類、野菜もあるということで、いろいろな食品から摂ることで、バランス的にいい摂り方といえる。ただし、少しずつ足りないために、すべての世代に、あと一本牛乳を摂れば、日本のカルシウム摂取状況は大きく改善されると考える。

- 9. なぜ牛乳をなまないのか? -

では、なぜ牛乳を飲まないのかを、16~19歳の女性1,200人にインターネット調査をかけた時の結果を以下に示す。
「お腹をこわす」とか「お腹がゴロゴロする」、「アレルギーだから」との理由は仕方がないことであるが、「習慣がない」、「飲む機会がない」、「家に牛乳がない」、「給食で飲む機会がなくなった」という様に、重大な理由から飲まないということではなく、牛乳の重要性が認識されていない理由から飲んでいない状況が推察でき、また家に牛乳があれば飲む人が多いことから、チャンスを与えれば飲んでもらえると考え、お母さんたちには、「家の冷蔵庫の中に牛乳を置いておいて下さい」とお願いしている。

牛乳を飲まない理由

「サプリメントでカルシウムを摂ればいいのでは」という意見があるが、サプリメントはそのものだけであり、牛乳はカルシウム以外の栄養素もしっかり摂れるため、牛乳を勧めている。

摂取状況 まとめ
健康のために、あと1本、あと1杯の牛乳を飲みましょう