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乳製品の製造工場とは
~“牛の乳”が“乳製品”になるまで~

酪農と乳業について

乳業工場で行うこと

乳業工場で行うこと

- 工場では乳製品の種類別にさまざまな工程が -

乳業工場に集められた生乳にはまず、ホモジナイズ(均質化)と呼ばれる処理が行われます。これは、クリームの塊をなくすために脂肪球を細分化する作業。その後、殺菌や滅菌処理が行われます。こうしてできるのがいわゆる「牛乳」です。牛乳の基本は「何も足さない、何も引かない」”成分無調整”です。生乳から水分を取り除いて濃厚にしたり、脂肪分などを取り除いた「成分調整牛乳」、生乳または乳製品を原料とする「加工乳」。コーヒーやフルーツの成分、鉄分やカルシウム分などを強化したものなど、乳製品以外のものを加えた「乳飲料」などです。さらに、生クリーム、チーズ、バターなど、その他の乳製品にするためにさまざまな加工が行われます。

乳業工場の数と規模・処理量

- 生乳が牛乳・乳製品に変わる場所 -

生乳の処理・加工を行う乳業工場の数は、2020年で全国に499工場あります。生乳処理量規模別の割合を見ると、1日の処理量が2トン未満の工場が54%で、年々、工場処理能力の拡大、工場の集約化・合理化が行われてきているものの、小規模の工場も多く存在していることがわかります。
酪農王国北海道に注目してみると、1日に40トン以上処理する大規模工場と、1日の処理量2トン未満の小規模工場に2極化していることがわかります。

図8:1日あたり生乳処理量規模別の工場数と割合(2020年12月)
図8:1日あたり生乳処理量規模別の工場数と割合(2020年12月)
図9:地域別処理量規模別工場数と割合(2020年12月)
図9:地域別処理量規模別工場数と割合(2020年12月)

製造と消費の動向 <牛乳の場合>

- 飲用牛乳等の生産量は横ばい傾向 -

2020年度の飲用牛乳等(牛乳、加工乳・成分調整牛乳、乳飲料)の生産量は前年比99.2%となっています。牛乳は前年比101.1%と増加傾向ですが、加工乳・成分調整牛乳は94.9%、乳飲料は95.5%と減少傾向となっています。発酵乳は101.9%となっています。

図10:牛乳等の生産量推移
図10:牛乳等の生産量推移

製造と消費の動向 <バター・脱脂粉乳の場合>

- 生乳の生産量及び需要で決まる生産量 -

バターの日本人1人あたりの年間消費量は、ヨーロッパでもトップクラスのフランスに比べると1/10以下。まだまだ増加の可能性を秘めています。
バター、脱脂粉乳の生産は生乳需給と深く結びついています。生乳処理では、比較的賞味期限の短い飲用牛乳向けの生乳が優先され、残りが保存性の高いバター、脱脂粉乳などの乳製品向けに回されます。このため、生乳生産量や飲用牛乳類の需要次第で、乳製品向けの生乳量が変化することになるのです。

図11:バター・脱脂粉乳の生産量・期末在庫量の推移
図11:バター・脱脂粉乳の生産量・期末在庫量の推移

製造と消費の動向 <チーズ・生クリームの場合>

- チーズ・生クリームの消費は増加 -

チーズと生クリームの1人1年あたりの消費量は近年増加傾向にあります。その理由としては、食生活の変化、新たな食シーンへの情報や提案が豊富になったことなどがあげられます。チーズは輸入自由化品目でもあり、輸入量も多いことから、国際相場の影響を受けやすい商品となっています。