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食料・農業・農村政策審議会 畜産部会(平成30年度第2回)における意見表明について

平成30年12月13日(木)に農林水産省三番町共用会議所で開催された「食料・農業・農村政策審議会 畜産部会.(平成30年度第2回」に当協会宮原会長が臨時委員として出席し、以下の通り乳業者の立場から酪農乳業政策に関する意見を述べましたのでご報告致します。

- 酪農乳業政策に関する意見 -

1:風味変化問題

昨年の畜産部会においては、学校給食用牛乳の風味変化の問題に対する対応について、特に意見を申し上げました。
その中で、学校給食用牛乳の安定的な供給を図るためにも、都道府県における衛生・教育関係者をはじめ学校給食関係者が一堂に会する情報交換会を定期的に開催するよう指導するなど、省庁を超えた風味変化に関する問題意識の共有を図っていただくようお願いしたところです。また、本年6月には、Jミルクからも学校給食用牛乳事業に係る要請の中で、同様のお願いをいたしました。
これを受けて、農林水産省からは5月に「牛乳・乳製品の安全性及び品質の確保について」、厚生労働省からは6月に「牛乳等における異味異臭疑い事案の調査について」が発出されました。

こうした中、茨城県において、昨年6月に続き、本年10月にも学校給食用牛乳での風味変化の問題が発生しました。茨城県においては、昨年の風味問題発生後、茨城県乳業協会が教育関係者も含めた「牛乳及び学乳の風味変化についての研修会」を開催したこともあり、本年のケースではその内容が活かされたことなどから、約1週間で供給を再開することができました。都道府県における衛生・教育関係者をはじめ学校給食関係者が一堂に会する情報交換会・研修の重要性を改めて認識するとともに、こうした事案の判断に当たっては、食品としての安全性確保の観点から、衛生面での検査等を通じて科学的に判断していただき、関係者のご理解を得ることが重要であると認識しました。業界としても各種研修や食育活動などを通じて、引き続き風味変化問題の発生抑制に努めてまいる所存ですが、今回の事例を参考に、今後とも、行政による迅速かつ適切なご指導をお願い申し上げる次第です。

2:総括的コメント(都府県酪農生産基盤の強化)

最後に、総括的なコメントなどを申し上げたく存じます。
国内的には、本年4月から新たな畜産経営安定法の下で、生乳流通等の酪農に係る制度が運営されることになりました。第1回目の畜産部会でも申し上げましたが、制度改正1年目ということもあり、基本的には、まだ大きな変化は見られないと認識しております。他方、国際的には、今後、TPP11に加え、日EU・EPAが発効すると見込まれますので、需要に応じた牛乳乳製品の生産や、酪農・乳業のより一層の競争力の強化が求められます。

こうした中、生乳流通については、台風や9月に発生した北海道胆振東部地震により、北海道から都府県への生乳の移出量が幾度も制限されるという事態が発生し、小売段階において、一時的に飲用牛乳の品切れなどが発生しました。このことにより改めて明らかになった酪農乳業の課題は、北海道と都府県のバランスを保った生産に加えて、国産の乳製品需要に見合った供給体制が必要であるということだと思います。都府県の生産が減少傾向にある中では、平時にあっても飲用牛乳等の供給が不安定になる事態が生じるおそれは否定できません。行政には、こうした綱渡りのような需給調整の実態をご認識いただき、来年度見直しが検討される「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」における最重要課題のひとつと位置づけ、全国、特に都府県酪農を中心として、生産基盤の強化を図っていただけるよう、改めて強くお願い申し上げる次第です。