牛乳乳製品の需給状況について
日本乳業協会では、定期的に牛乳乳製品の需給予測を行なっています。最近の牛乳乳製品の需給に関する関係者の関心の高まりを受け、年度末に向けた需給予測についてご理解をいただくことを主旨として、公表することと致しました。
1.生乳の供給について
平成23年度の生乳生産は、前年の猛暑の影響による乳牛の疲弊、東日本大震災による特に東北地方を中心とした生乳の廃棄や酪農家の廃業、6月後半から8月前半にかけての猛暑の影響等により、年間で2.5%の減産となると予測しました。
北海道の生乳供給量については、年間では前年をわずかに下回る(前年比-0.4%)として予測しましたが、10月以降の下半期で前年を超えることが予測されます(前年比+1.0%)。
都府県では、下半期にある程度の供給回復はあるものの、年度を通して減少傾向と予測しました(前年比-4.7%)。
2.飲用牛乳等について
震災直後に「牛乳」(成分無調整牛乳)の供給を優先する体制をとったことも関係して、「牛乳」の需要は堅調に推移すると予測しました(年間で前年比+0.7%)。
また、「加工乳」や「成分調整牛乳」は減少傾向にある一方で、価格面や機能性の面で「乳飲料」は増加傾向にあります。今後もこの傾向は続くと予測しています。生乳使用比率の低い「乳飲料」が増加することもあって、飲用牛乳等へ向けられる生乳は前年比-0.8%とわずかに減少すると予測しています。
なお、生乳供給量が減少している中で、特に学校給食が再開される9月における生乳需給は厳しい環境にありますが、学校給食用牛乳を含めた飲用牛乳の生産は最優先して行なうとともに、北海道からの生乳や製品による供給体制により補完しています。市場には安定して供給を行なってまいります。
3.乳製品需給について
生乳供給量が減少し、飲用牛乳等の生産が堅調であることから、乳製品の生産については大きく減少し、4~7月までの乳製品向け生乳仕向け量は前年比-8.9%となっています。この傾向は今後もしばらくは続くと予測され、年間では前年比-4.5%と予測しています。
バターについては、生産の減少分(前年比-13.6%)を輸入により補っています。国際約束であるカレントアクセス輸入に加え、追加的輸入も実施され、輸入による必要量の確保を行なっています。需要については当面底堅いと予測されることから、乳業者としては、国産チーズの減産によるバター生産に加え、計画的な製品出荷により、安定供給に努めています。結果として在庫数量は減少するものの、3月末において約2ヵ月分の在庫が確保されるという予測をしています。
脱脂粉乳については、生産が減少する(前年比-12.1%)中で、需要は堅調である(前年比-0.8%)ため、在庫は減少しつつありますが、3月末で約3ヵ月分の在庫が確保されるという予測をしています。
乳製品については、需給状況を背景に市況は上昇基調にありますが、今後も計画的な生産や輸入措置によって、必要な量を確保していく計画です。これらの取り組みにより、業界全体での供給数量について問題が生じることはないと見ています。