【訪問先】花王株式会社 すみだ事業場
- 会社概要 -
■代表者 代表取締役社長執行役員 澤田 道隆
■創 業 1887年6月19日
■設 立 1940年5月21日
■事業内容 家庭用製品、化粧品、食品、工業用製品の製造、販売
- 見学内容 -
・企業概況の説明を受けた後、丸田館長他のご案内で花王ミュージアムを見学した。2009年にリニューアルした当ミュージアムは、「清浄文化史ゾーン」「花王の歴史ゾーン」「コミュニケーションプラザ」の3つのゾーンに分かれており、清浄文化への理解を深めながら、“よきモノづくり”を継承する花王の企業精神と企業文化を学んだ。
・生活者コミュニケーションセンターの活動及びユニバーサルデザインへの取り組みに関する説明を聞き、事業活動の原点である“よきモノづくり”を実践するために、消費者との双方向のコミュニケーションに取り組んでいること、それをお客様との“共感の場”として対応していること、社内で情報共有され事業活動に反映させていることについて理解を深めた。
・独自に開発した消費者対応情報システムで、1978年に導入した「花王エコーシステム」のデモンストレーションでは、商品に関する問い合わせへの対応はもとより、テレビコマーシャルのモデルの名前、使用した衣装や化粧品などに関する膨大なデータが蓄積されていることに驚いた。
- 【現地見学の感想】見学した委員の皆様の感想を掲載。 -
1.花王ミュージアムを見学させていただき、花王の消費者とのコミュニケーションを「よきモノづくり」に反映させている仕組みがよくわかった。
とりわけ感銘を受けた点は、次の2点である。第1に、社員は役職名をつけず「さん」づけで呼び合うこと。新入社員が社長に話しかけるときにも「さん」であるという。日常の呼称ひとつにしても、社員一人一人の意識や仕事の仕方に影響するものだ。こうした呼称から育まれる平等意識が、生活者視点でのモノづくりに生かされることは容易に想像できる。
第2に、花王には市場占有率の高い工業用製品や材料も数多くあるとのこと。こうした技術は、どんな立場の社員も参加できる研究会議で自由闊達に意見が交換されることから生み出されていると聞き、花王の底力を感じた。
花王がユニバーサルデザインに取り組んでいるのは、かねてよく知っていたが、CMに字幕をつけるなど、新たな取り組みも聞いた。多様な消費者の声をきめ細かくすくいあげ、迅速に対応する姿勢に、時代の要請に応じるしなやかな企業姿勢を感じた。
2.日常生活の中で「当たり前にあるもの」として使っている花王製品が、多くのお客様の声を反映させながら〝進化〟していることを知ったのは大きな収穫でした。泡のハンドソープ、コンパクト洗剤、クイックルワイパー、詰め替え用のシャンプー・コンディショナー…。ついこの間まで、これらの製品がなかったわけですが、今ではないと困るものばかりです。
ただ、エコナをめぐる問題は、食品のリスクコミュニケーションを考える上でとても参考になる事例なだけに、乳業メーカーにとっても役立つと思っていたので、話題にする時間がなかったのが残念だった。
もちろん、私にとって今回の見学会はとても有意義な内容でした。
3.「清浄」に着眼したミュージアム見学、なかなか興味深い企画でした。水に恵まれた国土だからか、日本人はきれい好きです。スパイスとしてもつかわれるタマリンドの清浄力、初めて知りました。たかが石鹸、されど高度の工業用製品、科学や技術の進歩に一般市民がついていけない時代になっていることをつくづく思い知らされます。改めてびっくりしたのが、自宅で使用中の花王製品の多さ。意識せずに購入しているということは、最後に質問した方の疑問にもあったように、「花王」を売っていないのに結構買っている・・・すごいことですね。ヒーブや消費生活アドバイザーとしての私自身の職歴の中で、花王のエコーシステムを苦労して構築された掛川貞夫故所長はじめ、代々の職員の方々との交流があったことを懐かしく思い出しました。
4.花王の歴史、コミュニケーションセンター、清浄文化史とテーマ毎にまとめられたミュージアムの第一印象は“白”。眩しい程の壁や床は清潔そのもの。創業者が作り上げた顔も洗える高品質の石鹸から、顔⇒カオー⇒花王と社名が決まったというお茶目な話と使い良さを追求する研究熱心な姿勢を伺いました。また、コミュニケーションセンターには一日に1,000件の質問や意見が寄せられるとの事。相談に正確・親切に答えるのがエコーシステムでモノ作りや商品改良に役立てているそうで、一例としてシャンプー容器の側面に刻みを入れて触ればリンスと区別出来るようにしたとの事。正にユーザーの声に“エコー”の様に迅速に応えた例だ。システムを説明して下さった方の熱のこもった話しぶりにも花王の真面目な企業姿勢が伺え有意義な見学会でした。
5.「おおー、これが清浄文化!」「なんと、花王の三日月マークは当初こんなおじいさん顔で、しかも左下にある下弦の月だったの?」―東京都墨田区の花王ミュージアムを訪れた。足を踏み入れるや眩しすぎる「白」の演出に圧倒された。普段何気なく使っている製品が並び、バックは白一色。人間と清浄の歴史、明治20年創業の同社の歩みを物語る展示も興味深かった。人は清潔を維持し、気持ちよく生きるために昔からさまざまな工夫を重ねてきた。それが伝わってくる。それにしても昔の舶来石鹸は今の価格にして1個7千円!まさに高嶺だ。
そして、やはり進んでいると思ったのは同社の消費者第一主義。新聞記者時代にコールセンターを取材させていただいたことがあったが、今も消費者に向き合い、その声を徹底的に経営に生かしている。日本製品の信用の裏にはこうした努力があることを実感できた。
6.私は、「工場見学」が大好きである。実はエンジニアであった父が製紙会社に勤務していたこともあり、工場見学の機会があると、私は工場長さんに「静かにしています!!」と約束し、機械がゴトゴトと動き、木材が紙になって出て来るのを、工場の隅で見るのが「無上の楽しみ」だった。今回、必需品として生活に密着し、日頃お世話になっている「花王石鹸」の工場見学の機会を頂き、「やったー」と正直、声が出た。見学に期待しているメンバーの声も、行きのバスの中で弾んでいた。
「いっしょにeco」という「環境・安全レポート2017」を頂いた。今回お伺いした「すみだ事業場」は、「皆様とともに歩んで 94年」で、花王としては、創業130年。花王石鹸を発売してから 127年になるという。祖母が「ハイ、三日月のお顔の花王石鹸ですよ」と言っていたのを思い出した。その歴史は長い。花王の見学は、その歴史とともに充実したものであった。
7.消費者の意見や要望を受け止めて、製品の開発や改善に生かすだけではなく、容器の使い勝手等についても改善し続けてきた姿勢は素晴らしいと思います。特に、シャンプー容器の刻みを自社製品だけではなく、業界全体での導入に結び付けた点は、本当に感心しました。消費者重視の姿勢が本物だと思います。
ただ、コミュニケーションセンターについて、クレームに対する対応はどのようにしているのか、また、1960年代合成洗剤の環境汚染が社会問題になりましたが、その時どのように取り組み乗り越えてきたのか等々、お聞きしてみたいことがいくつかありましたので質問時間が少なかったのは残念でした。
しかし全体を通して、博物館の見学もとてもよかったですし、いろいろ勉強できて充実した一日となりました。
8.お風呂のルーツが、布教のための寺にあったとは知らなかった。だから銭湯の屋根は、お寺のような形をしているのか…。人類と清浄の歴史を、ミニチュアなども使いながらの楽しい展示で教えてくれる「花王ミュージアム」。そのユニークな展示は時間を忘れてしまうほどで、とても興味深かった。当たり前のようにある石けんが、わずか百数十年前にできたものであるということに驚く。それにしても、初代花王石鹸の包み紙の、なんとシックでおしゃれなこと!この百数十年の間に、私たちはどれだけ急速な変化を経験したか、ということを改めて考える機会となった。
また、生活者コミュニケーションセンターの活動も、企業の真面目な姿勢が伝わってくるものだった。日々寄せられる消費者の声を大事にし、すぐに多くの社員が共有し、よりよい製品作りへと繋げてゆく。基本ではあるが、組織が大きくなればなるほど、実行するのは難しいことだと思う。
我が家にも、いくつもの花王製品がある。商品名しか意識していないことが多いが、これもそうだったのか、と思う製品がたくさんあった。子供の頃からいつも身近かにあり、いわば共に歩んできた同士のような感じさえする。これからも安全に配慮し、多くの人にとって使いやすく便利な商品を期待したい。