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第13回定時社員総会を開催

去る5月17日(金)、一般社団法人日本乳業協会の第13回定時社員総会をホテルメトロポリタンエドモントで開催いたしました。総会での会長挨拶と来賓挨拶を掲載いたします。

- 定時社員総会 松田会長 挨拶 -

定時社員総会 松田会長 挨拶

本日はご多用の中、「第13回定時社員総会」にご出席をいただき、誠にありがとうございます。また、会員各位には、当協会の事業運営に対し、平素より格別のご支援、ご協力をいただいておりますこと、心よりお礼申し上げます。それでは、総会開催に当たり一言ご挨拶申し上げます。

昨年のゴールデンウィーク以降、新型コロナウイルスの分類が5類へと変更されたことで、企業、生活者の行動は活性化しました。特に訪日外国人客数は、円安も影響してか、3月には初めて単月で300万人を超えるなど、コロナ禍以前の状況以上に回復しております。円安や各地での紛争の継続などの影響もあり、日本国内の物価やサービスの価格は高止まりの状態が続いており、また、生活者の実質賃金は、3月までで24カ月連続のマイナスとなっております。こうした中、昨年は、複数回の乳価改定要求を受け入れ、製品価格も引き上げた結果、牛乳乳製品の消費は低迷が続いております。春の労使交渉では、大企業に限らず中小企業でも賃上げが広がったことから、消費の回復が期待されるところであります。この追い風を利用して、牛乳乳製品の栄養的価値や、酪農乳業の状況について紹介する理解醸成活動や消費拡大活動を、会員企業の皆様、他団体と連携して継続して実施していく必要があると考えております。
そのような中で、2年連続で減少が続いていた生乳生産は、2月以降回復しており、こちらは明るい兆しといえます。

消費につきましては、先ほども触れましたように、牛乳類の苦戦により、学校給食がストップする春休みやゴールデンウイーク期間には、生乳の処理が心配されたところでありますが、北海道・都府県の乳製品工場での稼働率向上や、市乳工場での貯乳量の調整などの協力を行っていただいた結果、大きな混乱もなく乗り切ることができました。ご協力いただきました会員の皆様には感謝申し上げます。
しかしながら、乳製品の生産も増加してきており、脱脂粉乳とバターの需要の不均衡もあることから、その動向は今後も注視していく必要があります。

さて、食料・農業・農村基本法は、25年ぶりの改正に向けて国会審議が行われておりますが、この改正を受けて「食料・農業・農村基本計画」が策定されるとともに、酪農乳業にとっては重要な「酪肉近代化基本方針」の5年に1度の見直しも行われることとなっており、3月から関係者からのヒアリングが開始されております。当協会では、乳業基本問題検討委員会を開催し、乳業者としての考え方の検討を進めております。「需給と価格の安定」「輸出拡大を含めた需要の確保」「生産性の向上」などの視点を持って、乳業者としての意見反映に努めて参りたいと考えております。

また、基本法の中では、合理的な価格形成についても触れられております。当協会では、昨年から「適正な価格形成」の議論に参画しておりますが、引き続き検討に協力をしていきたいと考えているところであります。
当協会では、牛乳・乳製品の制度改正に向けて取り組んで参りましたが、LL牛乳等については、大臣承認制度が3月に廃止されました。ただし、LL牛乳等の製造に使用する殺菌機や充填機については、一定のスペックが求められますので、他団体が検討しているガイドラインの作成に協力して参ります。また、牛乳等の消費拡大をよびかけている中にあって、品質及び衛生上の問題が起これば、生活者からの信頼の喪失、消費の更なる低迷につながることは言うまでもありません。業界全体に甚大な影響が及ぶことを再認識し、衛生水準の向上に向けた取り組みを推進して参ります。

SDGsやサステナビリティ、ESGなどの意識が社会全体に広まり、環境問題も「E」だけでなく「S」や「G」も含めた、より広い形の社会課題を解決することと捉えられています。当協会では、乳業界におけるカーボンニュートラルや、循環型社会形成といった経団連の自主行動計画を中心とする目標に取り組んで参りました。今後は人権問題や企業のガバナンスも含め、従来よりも大きな枠組みの問題解決にチャレンジしていかなければなりません。

この他にも、農林水産省では農林水産物・食品の輸出拡大に向けて、オール畜産としての取組みを強化しております。当協会と致しましても、牛乳乳製品輸出協議会の活動を通じて、貢献できるよう努めているところであります。また、「食品ロス削減」についても、品質・技術的側面からは「賞味期限の延長」を、労働環境改善面からは「物流の2024年問題対応」や「物流システムの改善・再構築」を、そして受発注や生産体制などの「商習慣を見直す」ことによる社会の効率化など、単に一企業のロスを減らすのではなく、業界全体の仕組みを最適化することにより、諸課題を複合的に解決していきたいと考えております。

当協会では、2024年度の事業推進にあたり、変化し続ける酪農乳業界の発展に向けて、会員の皆様はもとより、関係団体・関係企業と連携して取り組むことで、一層の力を発揮して参りたいと考えております。
引き続き皆様方にはご支援、ご協力のほどお願い申し上げます。

- 農林水産省 畜産局 牛乳乳製品課 中坪乳製品調整官 挨拶 -

農林水産省 畜産局 牛乳乳製品課 中坪乳製品調整官 挨拶

ただいまご紹介にあずかりました農林水産省牛乳乳製品課乳製品調整官を務めさせていただいております中坪と申します。
第13回定時社員総会の開催にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。
本日ご参会の皆様方におかれましては、私共農林水産行政、とりわけ酪農および牛乳・乳製品施策の推進にあたりまして日頃よりご理解いただき、誠にありがとうございます。この場を借りまして厚く御礼申し上げます。

さて、我が国の酪農乳業をめぐる経済状勢につきましては、ここ数年来、大変厳しい状況が続いております。特にあらゆる資材費、コストが高騰している中で、乳業者の製品価格の改定や需要開拓、需要の活性化を図るため各種プロモーションの展開をなされていると認識しております。皆様方が持続性を確保していくために、各方面でご活動いただいているものと承知しております。
この点、農林水産省の関係で申し上げますと、農産物・食品の合理的な価格形成に向けた協議会を立ち上げさせていただき、合理的に費用が考慮される仕組みづくりについて貴協会にもご参加、ご議論いただいております。こちらに対しても感謝申し上げたいと思います。

今後はこの協議会において、コストデータ収集の課題等を具体的に検討していくことになりますが、引き続き業界と私ども行政と一体となって議論させていただくことが重要と考えておりますので、貴協会の引き続きのご協力を何卒お願い致します。

また酪農をめぐる状況につきましては、脱脂粉乳の需要が依然として低迷していることが生乳需給の足かせとなっており、またこのことによる今後の酪農経営への影響も懸念されるところでございます。農林水産省としても、もちろん酪農ばかりではなく乳業者に対しても再生産を確保していくことが重要であり、そのためにも生乳需給の改善が大変重要であると認識しております。

こうした中、本年度も生処の皆様方が連携して自ら脱脂粉乳の在庫低減や需要、販路拡大に鋭意取り組まれていると認識しております。皆様方のご尽力に敬意を表したいと思います。農林水産省といたしましても、昨年度の補正予算、今年度の当初予算において脱脂粉乳の在庫低減対策や乳製品の消費拡大等の支援策を措置しております。あわせて生乳需給の改善とともに酪農経営の安定も図っていく考えであります。
加えまして今年度は我が国の酪農乳業の10年先を見据えた計画を定める酪肉近の見直し年度に当たっております。現在の酪肉近の目標値である生乳生産あるいは需要の目標は令和12年度に780万トンという数字を掲げているところでありますが、今後、人口が減少していくことが確実視されておりますし、多様化していく生乳流通、牛乳乳製品の消費動向の変化なども踏まえていくことが必要であろうと考えているところでございます。

また、同時に数年間の需給緩和の中で生乳需給調整のあり方も大きな課題としてクローズアップされていると理解しております。こうしたことを踏まえ、我が国の酪農乳業が将来にわたって発展していけるように議論を進めていきたいと考えておりますので、どうか皆様方の引き続きのご協力をお願い申し上げます。

最後になりますが、貴協会と本日ご出席の皆様方のますますのご発展、ご健勝を祈念申し上げますとともに、我が国の酪農乳業の発展に皆様方のお力添えを賜ることができればと考えております。これからもどうぞよろしくお願いします。
本日は誠におめでとうございます。

- 厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課 川越課長補佐 挨拶 -

厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課 川越課長補佐 挨拶

ただいまご紹介にあずかりました厚生労働省食品監視安全課の川越と申します。本日は日本乳業協会定時社員総会にお招きいただきまして誠にありがとうございます。大坪健康・生活衛生局長が国会対応のため私の方で挨拶させていただきます。

総会の開催に当たり、一言ご挨拶申し上げます。まず初めに、お集りの皆様におかれましては平素より厚生労働行政にご理解ご協力を賜り、また乳及び乳製品の安全確保にご尽力いただいていることに対し厚く御礼申し上げます。

皆様ご承知の通り、現在小林製薬株式会社の紅麹案件について、厚生労働省において原因究明を国立医薬品衛生研究所等々と連携しながら進めているところであります。関係省庁とも連携しながら再発防止のため食品衛生の法体系を含め、どのような施策が必要なのかということも含めて検討しているところでございます。
本日お集まりの皆様におかれましても、より一層の食品の衛生管理の徹底、何かあった時の危機管理体制の改めての再確認をいただくよう、改めてお願い致します。

また乳関係につきましては、時折ではございますが、牛乳の風味異常等の問題が起こっているところでございます。このような事案が起きた際には、業界内での連携はもちろんのこと、私たち行政、関係者との連携も強く求められているところでございます。その際、特に検査記録をはじめ記録をきちんと残しておくこと、これが大変重要でございます。このことはぜひ小規模事業者の皆様にも徹底いただくようお願い致します。

さて、食品衛生を取り巻く状況につきましてはHACCPに沿った衛生管理の義務化、営業許可業種の見直し、営業届出制度や食品のリコール制度の創設などが本格施行され3年が経過しようとしているところでございます。HACCPに沿った衛生管理については、昨年度貴協会を中心としてHACCPの考え方を取り入れた牛乳・乳飲料製造、クリーム製造、バター製造の衛生管理の手引書を改訂いただきました。現在ではこの手引書に基づきまして全国の保健所において、小規模事業者に対して適切な助言、監視指導が行われているところでございます。引き続きHACCPの取り組みを含め、乳業界が衛生管理に関する食品業界全体の牽引役となっていただけることを期待しております。

さらにご要望いただいておりました牛乳等の常温保存可能品の規格基準設定につきましては、本年3月19日に施行されたところです。今後、牛乳等の常温保存可能品の輸出がより一層促進されることになると思っております。厚生労働省としても食品衛生の観点から、輸出促進に向けて協力を続けてまいりたいと思っております。農林水産物、食品の輸出につきましては、2030年の輸出額5兆円の目標の達成に向け農林水産省を中心に政府一丸となって取り組みを進めているとことでございます。牛乳・乳製品の輸出につきましても農林水産省と連携しながら、食品安全を所管する立場から今後も必要な支援に努めさせていただきたいと思っているところでございます。

最後になりますが、日本乳業協会のますますのご発展と、本日ご出席の皆様方のますますのご健勝、ご活躍を祈念いたしまして私の挨拶とさせていただきます。
本日はおめでとうございます。

- 消費者庁 食品衛生基準審査課 今西課長補佐 挨拶 -

消費者庁 食品衛生基準審査課 今西課長補佐 挨拶

消費者庁食品衛生基準審査課の今西でございます。
昨年度までは厚生労働省で業務をしてまいりましたが、この4月から食品基準行政が消費者庁へ移管されたことに伴い移ってまいりました。基本的に以前と業務内容は変わりなく、引き続き食品衛生法の中の規格基準について業務をさせていただきますので、よろしくお願い致します。

消費者庁にきて1カ月ほど経つわけですが、皆さんご想像されているように非常に忙しい毎日を過ごしております。私自身は食品衛生法の中の器具容器包装の規格基準と乳、肉、水産の規格基準を担当させていただいております。その業務を行いながら、現在は小林製薬の紅麹のサプリメント問題に関して機能性表示食品のあり方を検討する業務にも加わっております。

私自身、厚生労働省の勤務経験もありますし、内閣府食品安全委員会事務局にも微生物担当としての業務も行ってまいりましたが、昨今のような食品の安全が揺らぐようなことが起こると、国民の食品安全への心配が高まってまいります。日頃は何も起こっていないのが当たり前のように感じられますが、何も起こらないことは実は当たり前ではなく、食品を製造される方々の努力があってこそ、安全がしっかりと担保されていると認識しております。
私たち行政はリスクコミュニケーションの中で、「当たり前のこと」は事業者が努力をもって成し遂げていることをしっかりと伝えていかなければならないと思いますし、皆様には安全の確保に向けてのご尽力をお願いしたいと思います。

私たちの乳業者に関連する業務としましては、現在規格基準の改正ということで器具容器包装の規格基準の改正を進めております。内容としては、貴協会からご要望いただいているものとなります。平成30年の法改正でポジティブリスト制度が導入されておりますが、このポジティブリスト制度の考え方は器具容器包装に使う材質、その中でも合成樹脂の物質をすべてリストにするというものです。制度の考え方からすると、牛乳の容器であろうが清涼飲料水の容器であろうが、物質として管理していけば同じものが使えるということになります。現在は牛乳等の容器だけが用途別として別の規格基準が定められておりますが、ポジティブリスト制度の考え方に従うと、他の容器と規格基準を分ける必要はなくなります。

今年2月の器具容器包装部会で容器の用途別規格を基本的に撤廃する内容の法改正を審議いただいて、ご了承いただきました。その後、食品安全委員会に食品安全評価を依頼してその回答をいただいているということで、これから行政的な手続きを行い告示改正に向けて取り進めてまいりたいと思っているところです。

また、乳等省令が乳等命令になりましたが、調製粉乳、調製液状乳の大臣承認制度については今後、消費者庁において業務させていただくことになります。貴協会の調製粉乳関係のワーキングにも出席されていただき、制度について説明させていただきながら、議論もさせていただければと思います。

最後になりますが、日本乳業協会のますますのご発展と、参加されている皆様のご健勝を祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。