第11回定時社員総会を開催
去る5月20日(金)、一般社団法人日本乳業協会の第11回定時社員総会を新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を徹底し、ホテルメトロポリタンエドモントで開催いたしました。総会での会長挨拶と来賓挨拶を掲載いたします。
- 定時社員総会 宮原会長挨拶 -
本日はご多用の中、「第11回定時社員総会」にご出席をいただき、誠にありがとうございます。本日は新型コロナウイルス感染症の感染防止には十分配慮した上で、実開催とさせていただきました。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。また、会員各位には、当協会の事業運営に対し、平素より格別のご支援、ご協力をいただいておりますこと、心よりお礼申し上げます。
ご挨拶を申し上げる前にご報告がございます。当協会副会長として長年ご尽力いただき、昨年4月28日に逝去されました、中央製乳株式会社 前代表取締役社長の川澄宏匡氏を「偲ぶ会」が、4月28日に執り行われ、当協会から坂口専務理事が代表として参列いたしました。皆様にご報告申し上げると共に、あらためて哀悼の意を表したいと存じます。
さて、ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、国際情勢が大変不安定になっております。エネルギー価格の上昇による家計や物流コストへの影響とともに、穀物価格の高騰が続いていることから生産者、乳業者ともに大変厳しい経営環境となっております。
牛乳乳製品の需要に目を向けますと、昨年の7月以降、コロナ禍による「巣ごもり需要」の反動に冷夏の影響も重なり、牛乳・乳製品の消費は停滞感が強いものとなっており、特に業務用需要についてはインバウンド需要などの回復が遅れ、依然として不透明な状況となっております。
一方で、直近の生乳生産量は依然として増産基調で推移しており、春休み、そしてゴールデンウイークは、昨年以上に生乳需給の大幅な緩和が懸念されましたが、全国的な需給調整や乳業者の皆様の最大限の生乳処理努力とともに、農林水産省からも牛乳乳製品消費拡大の取り組みへの協力をいただいたことなどにより何とか乗り切ることができました。関係者の皆様のご協力に改めて心よりお礼を申し上げます。
当協会では牛乳乳製品の普及啓発活動はもとより、2021年度は農林水産省の「国産乳製品需要拡大緊急対策事業」の事業実施主体として、生産者団体とも連携しながら「バターの出口対策」への支援を行い、在庫の縮減に協力して参りました。
一方で、在庫の積み上がりには依然として歯止めがかからず、脱脂粉乳等の乳製品の在庫は過去最高水準にあることから、かつてない危機感を強めているところです。現在、業界の自主対策であるJミルクの「酪農乳業乳製品在庫調整特別対策事業」の実施に向けて、基金の造成を行っているところですので、会員・乳業者の皆様には、ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。当協会としても、本事業が円滑に実施できるよう、皆様からご質問やご意見などを伺い、側面的な支援を行って参りたいと考えております。
また、国による本事業の支援事業である「ウィズコロナにおける畜産物の需給安定推進事業」のうち販路拡大等支援事業については、当協会も事業実施主体となっており、ECサイト販路開拓、販売流通形態の変更、脱脂粉乳の新たな活用方法の開発及び普及等について支援して参ります。会員・乳業者の皆様には、ご理解・ご協力を切にお願いいたします。
以上のような状況も踏まえ、当協会では2022年度の国家貿易による乳製品輸入枠について、「バター・脱脂粉乳ともに輸入する必要はなく、国家貿易による乳製品の輸入・売渡については、適切かつ弾力的な運用を強く求めたい」との要請を国に対して行いました。こうした要請もあり、本年度も前年度に引き続きカレントアクセス内にとどめた輸入枠となっています。
一方、農林水産省では農林水産物・食品の輸出拡大に向けて2030年までに5兆円という目標を掲げ、取組みを強化しております。当協会としても、同省の進めている「畜産物輸出コンソーシアム推進対策事業」等に協力し、牛乳乳製品の輸出促進活動に対して支援を行い、乳製品需給の改善に少しでも貢献できるよう努めているところです。
ご存知の通り、食品衛生法の改正により、昨年6月からは、すべての事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務付けられるなど、法制的に大幅な衛生管理の強化が行われましが、残念ながら昨年度、学校給食用牛乳を原因とする品質事故が立て続けに発生しました。消費者の方々に飲用牛乳の消費拡大を呼び掛けている中にあって、品質及び衛生上の問題が起きれば、消費者の信頼の喪失、消費の低迷につながり、業界全体に甚大な影響が及ぶことを再認識し、全国の中小事業者を中心に衛生管理の一層の底上げに努めて参りたいと考えております。
さて、世界に目を転じると、国連におけるSDGsの採択を受けて、農林水産省では「みどりの食料システム戦略」などが取りまとめられるなど、環境に配慮した持続可能な食料生産が課題となっており、昨年には「国連食料システムサミット」が開催されました。
また、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて「地球温暖化対策計画」などが取りまとめられ、循環型社会の形成に向けては「プラスチック資源循環促進法」が今年4月に施行されました。
この様な情勢を踏まえ、乳業者としてSDGsに貢献するために温室効果ガス削減、容器包装の環境配慮、食品ロス削減などの環境問題への取り組みを進めて参りたいと考えております。
長引くコロナ禍の影響で社会環境が大きく変わり、「新しい生活様式」の定着が進む中、日本の酪農乳業界も新たな視点での取組みが求められております。当協会では、ウィズコロナに対応し、外部発信力の強化とプレゼンスを高めるため、デジタル化を推進し部門横断的な取組みの推進と課題の解決を図ることで、酪農乳業の発展のために一層の力を発揮して参りたいと考えております。引き続き皆様方にはご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
本日は、これより2022年度事業計画書と収支予算書についての報告、並びに2021年度事業報告書案及び決算書案、また本年度の「会費徴収」等についてご審議いただくこととなっております。慎重審議と円滑な議事進行にご協力をお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。
- 厚生労働省医薬・生活衛生局 三木食品監視安全課長挨拶 -
本日は、第11回定時社員総会にお招きいただき誠にありがとうございます。お集りの皆様には平素から厚生労働行政に深いご理解ご協力を賜っておりますこと、また、新型コロナウイルス感染症がまだ収束しない中で感染防止策に取り組みながら、乳・乳製品の安全確保にご尽力いただいておりますことに、あらためて御礼申し上げます。
さて、総会が滞りなく終了し、新しい体制として役員の方々がご紹介されておりましたが、引き続き食品衛生行政、特に昨年6月から施行しておりますHACCPに沿った衛生管理等について、乳・乳製品の安全確保をよろしくお願いいたします。
また、昨年は幾つか牛乳等に関する事故があり、現在、協会様におかれましては手引書の改訂を進めていただいているところでございます。ちょうど先日、改訂案を厚生労働省にお示しいただいたところですので、当省といたしましても省内に設置しましたHACCP技術検討会にお諮りすることになっております。引き続き、改訂作業にはご協力させていただき、なるべく早く改訂し、事業者の皆様方にこれを基に衛生管理を進めていただければと思っています。その際、協会様におかれましては事業者への周知をお願いいたします。私共も保健所等に周知を徹底いたしますので、よろしくお願いいたします。
これから食中毒のシーズンに入ってきますので、行政としても7月もしくは8月くらいから夏期一斉取り締まりで保健所の方でいろいろな施設に入っていただくことにしております。また、8月は食中毒月間ということで、食中毒防止に力を入れていくことになっております。引き続き、今後事故が無いようによろしくお願いいたします。
終わりに、日本乳業協会様の一層のご発展と、本日ご出席の皆様方の今後ますますのご活躍とご健勝を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。
- 農林水産省畜産局牛乳乳製品課 松本乳製品調整官挨拶 -
まずはじめにお詫びいたします。本日、本来であれば牛乳乳製品課長の大熊がご挨拶申し上げるところ、公務の都合により私からご挨拶申し上げることになりました。
本日ご参会の皆様におかれましては、日頃から我が国の酪農乳業の発展にご尽力いただき誠に感謝申し上げます。今回、改選がおこなわれ役員に新たに就任されました方々におかれましては、これまでの経験を基に我が国の酪農乳業の健全な発展のために、ご尽力を賜りますことを期待いたします。
酪農乳業界の最大の課題である需給について、学校給食が減少する春休み、さらに引き続きゴールデンウイークの期間は、皆様をはじめ関係者のご協力をもちまして処理不可能乳の発生を回避できたところでございます。しかしながら、最近の天候、社会情勢の影響からか足元の飲用需要には、本来であれば爽やかな季節に期待される力強さは見られず、極めて厳しい状況が続いていると承知しております。先行き不透明な状況ではございますが、引き続き生乳需給の改善に向けて警戒感をもって製品の販売強化など、最大限のご尽力をいただきますようお願いいたします。
農林水産省におきましても「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」において、政府広報あるいは農林水産省公式YouTubeチャンネルBAZZ MAFF(ばす まふ)とか、最近マスコミ等に取り上げてもらっています「#牛乳料理部」といったSNSの発信等、様々な取り組みをおこなっております。今後も新たな仕掛けを検討していきたいと考えており、関係者と調整対応しているところでございます。
生乳需給の改善が求められている今年度、生産者団体においては主産地の農協を中心に需給状況の改善に向けまして、搾乳牛の早期乾乳、あるいは出荷予定牛の繰り上げ販売といった生産抑制に資する独自の取り組みが進められていると承知しております。
乳業者の皆様にはウクライナ情勢の影響によりまして、あらゆる物価が上昇している中で、需給改善を図りながら乳資源の安定確保のための生産基盤維持にも今後ともご理解ご協力、柔軟な対応をお願いいたしたく存じます。
この需給の関連ですが、いま問題になっております過剰在庫対策について、高い水準で在庫が推移している脱脂粉乳はJミルクにおきまして令和4年度から「酪農乳業乳製品在庫調整特別対策事業」が実施されることになっております。先月、Jミルクから事業を活用される事業者に対して、枠の数量、通知がおこなわれ、各事業者から用途別の活用数量計画書が提出されていると承知しております。この在庫対策基金の造成につきましては、多くの事業者の方々から賛同を得られたと聞いております。関係者の皆様から大きな期待を受けております本事業が円滑に運用されるよう、引き続き農林水産省においても支援して参りたいと考えております。
また、今年度のalic事業の形で措置を国の方でいたしました脱脂粉乳をはじめとする牛乳乳製品の販路拡大等支援事業につきましては、貴協会に事業主体となっていただき、乳業者の皆様の取り組みも支援して参ることとしております。この事業の積極的な活用もご検討いただき、牛乳乳製品の消費拡大、需給改善を一緒に図っていきたいと考えております。この需給改善に向け生処、あるいは行政が一体となって取り組んでいきたいと思っておりますので、ご理解ご協力をお願いいたします。
最後になりますが、酪農乳業行政への一層のご理解ご支援を賜りますようお願いいたしますとともに、皆様の今後ますますのご健勝とご活躍を祈念申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
当協会役員交代のお知らせ
今回の定時社員総会は改選期となっております。会長の交代はございませんが、その他の役員は一部交代しております。
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- 協会役員