第1回定時社員総会・懇親会を開催
去る5月18日(金)、一般社団法人日本乳業協会としての第1回定時社員総会・懇親会をホテルグランドパレスで開催いたしました。総会での会長挨拶と懇親会での新旧会長挨拶及び来賓祝辞を掲載いたします。
- 社員総会 古川会長挨拶 -
会員の皆様方におかれましては、平素より当協会の業務運営に関しましてご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
第1回定時社員総会の開会に先立ち一言ご挨拶を申し上げます。
平成23年度の酪農乳業界は東日本大震災、東京電力原子力発電所事故に伴う放射能による食品汚染、そしてTPPへの交渉参加問題等が続いた一年間でございました。東日本大震災の影響では未だに多くの方々が避難を余儀なくされていることに心を痛めるところでございます。
又、放射能物質の問題は今後も暫くは続く問題でございまして、我々食品業界にとって原料から製品まで一貫して安全衛生を確保することが如何に大切か、或いは大変なことかをあらためて再認識したところでございます。被災地における生乳生産現場では牧草畑の除染や汚染飼料の汚染たい肥の処分もなかなか進まない中で、自給飼料が使えないなど生産者の方々はご苦労されている訳でございます。
現在の牛乳・乳製品の安全が保たれている事に敬意と感謝の意を表するところでございます。乳業者としては、モニタリングにより安全性を確認された生乳のみが出荷・流通していることを大前提に、牛乳・乳製品の安全性が確保されていると考えているところです。4月からの新基準値施行前に、このモニタリングシステムが間違いなく機能していること、そして牛乳が新基準に適合していることを確認する為、学校給食牛乳を主体として製品検査をいたしました。結果はご案内のとおり全ての検査結果において新基準値を下回り、検出下限値を上回るものはありませんでした。これにより生乳のモニタリング検査が検証され今後ともモニタリング検査結果を確認することで安全性の確認につながるものと考えております。
牛乳・乳製品の安全性確保には生乳生産現場での汚染防止の取り組みが何よりも重要であると認識されております。その意味で圃場の除染、汚染飼料・たい肥の処分が今後とも出来るだけ早く進むことを期待するところです。
TPPにつきましては、乳業協会としては国内酪農生産への影響は大変大きなものがある。又、乳業として地域雇用への影響や食品安全、或いは商品供給に関する責任等を考えた場合には交渉参加には賛同できないという姿勢を表明いたしているところでございます。先月4月ですが関係官庁との意見交換の場におきましても、必要な国内対策を含めて総合的な判断ができる情報提供がなされていないこともあり、あらためて交渉参加には賛同できない旨をお伝えしているところでございます。
ところで、一昨年の猛暑や昨年の大震災の影響などから生乳生産基盤は大きく影響を受けておりまして、23年度の生乳生産は大幅に減少しバターを中心として乳製品需給に影響を及ぼしました。日本乳業協会では需給予測を毎月実施し情報提供をきめ細かく行い、関係者の方々に対して冷静な対応を呼びかけると共に、必要な輸入措置に対しまして要請機関へ要請してまいりました。そして、バターの輸入につきましては、カレントアクセスに加えまして2,000トンの追加的輸入措置が特別セーフガードの発動回避措置と合わせて実施されました。乳製品需給はまだまだ不透明感があります。生乳生産は3年間の増産計画となっているものの、まだまだ力強い回復には至っておりません。夏場の飲用需給、或いはバター、脱脂粉乳などの乳製品需給と共に十分な見極めと慎重な対応が必要な状況にございます。昨年度と同様にきめ細かな予測と情報発信、要請機関等への働きかけを実施いたしまして市場に混乱をきたさないよう努めてまいる所存でございます。
次に、日本乳業協会は本年度も引き続き5つの重点課題に取り組んでまいりますが、昨年の大震災によりまして生じました様々な課題への対応が重要なテーマとなっております。あらためて5つの重点課題と震災で浮き彫りになりました3つの課題をご確認いただきたいと思います。まず5つの重点課題でございますが、
1.品質及び安全性の向上による消費者の安全・安心、信頼の確保
2.牛乳・乳製品の普及啓発と需給の均衡
3.国際化の進展への対応
4.環境・リサイクル対策の推進
5.乳業事業の改善と合理化の推進
これらに取り組んでまいります。そして、震災により浮き彫りになりました3つの課題として
1.生乳から製品までの安全性の確保
2.エネルギー不足の際の牛乳・乳製品の安定供給体制の整備
3.全国における乳業工場の配置と役割の整備
ということに纏めております。これにつきまして、本年度より具体的な対応に取り組む事としております。
一般社団法人日本乳業協会といたしまして、強い決意と気概を持って山積みとなっている課題に立ち向かってまいりますので、引き続き会員の皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。
- 懇親会 古川前会長挨拶 -
本日はご多用の中、多数のご出席をいただき誠に有難うございます。
本日の懇親会には厚生労働省より医薬食品局食品安全部監視安全課の滝本課長様、農林水産省より生産局畜産部牛乳乳製品課の菅家課長様をはじめ、関係諸団体からも多くの方々のご臨席を頂戴いたしております。又、日頃から協会活動にご支援いただいている賛助会員の皆様にも多数ご出席いただいており、厚く御礼申し上げる次第でございます。
まずはじめに、先程開催されました第1回定時社員総会におきまして全議案が承認されましたことを皆様方にご報告申し上げます。今回は一般社団法人として初めての決算をご承認いただく定時社員総会でございました。今回の社員総会をもちまして当協会の役員任期は満了となり、今後2年間の協会運営をお願いする新しい役員の方々をご承認いただきました。その後に開催されました理事会では新会長に雪印メグミルク株式会社の中野社長にご承認いただくことに決まりました。又、今回の改選にて中田副会長様、加々見理事様、窪田理事様、田中理事様、中村理事様、信國理事様がご退任されます。退任されます方々にはあらためて顧問にご就任いただくこととなりました。これまで専門的な立場から様々なご助言、ご意見をいただき感謝申し上げる次第でございます。新任理事の皆様方ともども今後ともご助言いただきたく、あらためてお願い申し上げます。私も一般社団法人への移行を挟んで会長を務めさせていただきましたが、今回理事を退任させていただくこととなりました。その間、農林水産省をはじめ本日ご参集の皆様より協会運営へご支援、ご指導ご協力を賜りました事を深く御礼申し上げる次第でございます。
本総会では23年度の事業報告並びに決算報告のご承認をいただきました。又、会費のいただき方につきまして見直しをおこないご承認をいただきました。24年度の事業計画につきましては3月の理事会で決定しておりますが、重点課題として「品質及び安全性の向上による消費者心理の安心・信頼の確保」「牛乳・乳製品の普啓発と需給の均衡」「国際化の進展への対応」「環境・リサイクル対策の推進」「乳業事業の改善と合理化の推進」以上5項目を掲げると共に、東日本大震災によって浮き彫りとなりました3つの課題を重要なテーマとして位置づけ、夫々を意識した取り組みを進めることといたしました。昨年の東日本大震災では牛乳・乳製品の供給が一時、滞る事態となりました。多くの生活者の方々に大変なご迷惑をおかけしました。あらためて牛乳・乳製品の国民の皆様の食生活において重要な位置づけを占めている。そして我々乳業者はその供給責任を担っている事を深く認識するに至りました。震災によって様々な課題が浮き彫りにされましたが、国民の多くの食生活を担っている責任を果たすために、いずれも解決していかなくてはならない課題でございます。
その他にもTPP参加問題や食品表示問題、容器包装リサイクル問題、そして今年の夏の電力供給問題、我々酪農乳業界を取り巻く状況は、これまでになく厳しい状況でございますが、この様な大きな社会的責任を果たしていくために中野新会長の下、課題解決のために乳業界が一致団結していくことが重要と考えます。本日お集まりの皆様、関係当局、諸団体の皆様の更なるご指導そしてご支援を宜しくお願い申し上げます。
最後になりましたが、これまでのご厚情に感謝申し上げ挨拶とさせていただきます。
- 中野新会長挨拶 -
本日はご来賓の方をはじめ沢山の皆様にご出席を賜り、誠に有難うぼざいます。先程、第1回定時社員総会が終了し、平成24年度の新しい方針が示されると共に新役員が決定いたしました。古川前会長の後任として、私、中野が会長をおおせつかることとなりました。宜しくお願い申し上げます。
酪農乳業界を取り巻く環境は大変厳しく身の引締まる思いですが、会員・賛助会員の皆様のご協力と関係省庁の皆様のご支援をいただきながら、微力ではございますが酪農乳業界の発展のために努力してまいりたいと思います。
前任の古川会長は、宮城県での10年ぶりとなる口蹄疫発生という混乱の中、会長に就任されました。翌年には東日本大震災という未曾有の大災害に直面し、行政と連携した被災地への粉ミルク支援や義捐金支援を行うと共に、サプライチェーンや放射線物質に関する情報を迅速かつ的確に消費者の皆様にお伝えし、安心と信頼の確保に努められました。この2年間はまさに日本乳業協会の役割・機能が強く求められた2年間であったと思っております。
又、昨年の4月には一般社団法人へのスムーズな移行を実現した他、畜産部会では業界を代表し的確なご発言をいただきました。このように、酪農乳業界のリーダーとして本日まで協会の舵取りをいただきましたことに、あらためて深く感謝申し上げます。尚、前任の東倉専務理事には大変ご苦労されたと思っております。恐らく1年間の間で2年分位の仕事をしていただいたと思っておりますので、合せまして感謝申し上げます。
さて、平成24年度は既にスタートしていますが、昨年に引き続き放射性物質問題やTPPをはじめとした国際化の議論等、酪農乳業界を取り巻く環境は大変厳しい状況が続いております。この中で特に重要であると認識している課題を2点お話いたしました。
1点目は放射性物質の基準についてです。4月から新基準が施行されました。私ども日本乳業協会としては、新基準値は十分に安全が確保され得るレベルであると認識しております。消費者の皆様に安全であることを理解していただき、安心して頂けるよう関係者の皆様のご協力を頂きながら努力してまいたいと思っております。しかし、一部では自主基準を競ってアピールする傾向がみうけられます。あたかも二重基準があるかの様な無用な混乱を招かないよう日本乳業協会として関係省庁と連携しながら適切に対応していきたいと思っていますので、宜しくお願い申し上げます。
2点目は牛乳・乳製品の需給についてです。昨年の大震災ではサプライチェーンの寸断により商品の供給が思うように出来ず牛乳・乳製品が我々の生活に無くてはならないものと認識するとともに、安定供給が如何に大切かをあらためて認識した次第でございます。しかしながら、今年度は昨年来のバター需給の逼迫見通しに加え脱脂粉乳についても不足が懸念されております。せっかく大切さが再認識されました乳製品の需要拡大に水を差す懸念があるかと認識しております。是非とも最需要期を乗り切るため業界を挙げて連携、協力し、又、行政の皆様のご支援ご指導をいただきながら市場が混乱することが無いよう最善の努力を尽くしてまいりたいと考えております。この需給の問題は単に今年度の対応にとどまらず、中・長期的な視点をもって持続的な酪農乳業発展のために関係者が連携して取り組んでいくことが重要と考えております。
以上の2点以外にも、先程の古川前会長のご挨拶にもありました日本乳業協会の5つの重点課題や震災により顕在化いたしました乳業の3つの課題について、今後もスケジュールに基づいて着実に進めて行きたいと思います。
それ以外の話では、来年の秋2013年10月28日~11月1日には横浜でワールド・デイリー・サミットが開催されます。日本での開催は1991年以来、約20年ぶりですが東日本大震災からの復興の過程にある日本での開催というのは大変意義深いものであると思っております。同時に日本の酪農乳業界を世界にアピールする絶好の機会であると思っております。関係諸団体や会員の皆様と連携して酪農乳業界の力を結集し成功に向けて尽力したいと思っておりますので、宜しくお願いいたします。
最後になりますが、日本乳業協会は会員の皆様から「何を求められ、何を期待されているのか」を常に念頭に置いて、個社単独で出来ないことを日本乳業協会が軸となり会員や諸団体と連携し進めることが大切だと思っております。その為にも本日お集まりの皆様には何卒ご指導ご支援をお願いしたいと存じます。酪農乳業界の益々の発展と、ご出席いただきました皆様のご健勝を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。
- 厚生労働省 滝本監視安全課長祝辞 -
本日は懇親会にお招きいただき誠に有難うございます。又、本日ご参会の日本乳業協会会員の皆様方には、日頃から牛乳・乳製品の安全性確保を通じ公衆衛生の向上にご理解ご協力を賜っており、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
先程、第1回定時社員総会が無事終了したとのこと、誠におめでとうございます。又、今回の総会における役員改選で、古川前会長から中野新会長にバトンが引き継がれたとお聞きしております。古川前会長におかれましては、食の安全・安心が消費者の方々の大きな関心を集める中、我々の公衆衛生行政にご理解を賜り牛乳・乳製品の安全性確保、消費者の安心確保のための諸活動にご協力いただき誠に有難うございます。心より御礼申し上げたいと存じます。
中野新会長におかれましては、引き続き牛乳・乳製品の安全・安心の構築にご尽力いただきますよう、お願い申し上げます。
さて、昨年、東京電力福島原子力発電所事故による食品中の放射性物質の汚染問題が発生し、この4月からは先程来お話に出ております新しい基準値が施行されているところです。又、昨年1年間の検査結果を基に検査対象地域と検査対象品目の重点化を図った新しい検査ガイドラインに基づき、4月以降この1ヶ月あまりの間に2万件以上の検査が実施され、山菜や水産物を中心に約600件が基準値をオーバーしておりますが、原乳や乳製品は殆どのもので検出限界以下、或いは数ベクレルといったところで推移しております。
厚生労働省では各自治体で検査されたデータを速やかに公表すると共に、各地で食品中の放射能問題に関するリスクコミュニケーションを開催するなど、消費者の方々の不安を払拭するための努力を継続していくこととしています。
一方、乳・乳製品の衛生管理については、食品衛生法に基づく総合衛生管理製造過程(HACCP)の承認対象食品に乳・乳製品はいち早く位置づけられ、現在300施設以上承認されています。いうまでもなくHACCPによる衛生管理は承認されてゴールではなく、そこからスタートするものであり維持管理することが極めて重要であります。その意味からも乳処理施設における専門家を育成する観点から実施されている日本乳業協会の牛乳HACCP講習会も意義深い事業活動の一つであると認識している次第です。
今後とも引き続き日本乳業協会におかれましては、牛乳・乳製品の安全確保に対する取り組みを充実強化していただき、あわせて会員の皆様方には衛生管理の徹底と品質の確保に対するお一人お一人の意識向上と、日頃からの取り組みに一層ご尽力いただきますよう、あらためてお願い申し上げます。
最後になりましたが、本日ご出席の皆様方の今後の益々のご活躍とご健勝を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。本日はおめでとうございました。
- 農林水産省 菅家牛乳乳製品課長祝辞-
本日第1回の定時社員総会が滞りなく終了されたことをお慶び申し上げるとともに、懇親会にお招きいただきましたことにお礼申し上げます。又、本日ご参会の皆様におかれましては、日頃より私どもの酪農乳業行政に大変なご協力を頂戴しているところでございます。あらためて感謝申し上げます。
先程の総会で役員の改選があったとのことです。古川前会長や東倉前専務理事をはじめ、任期を終了いたしました役員の方々におかれましては、任期の間の大変なご努力ご尽力に深く敬意を表する次第です。特に昨年の東日本大震災におかれましては、日本乳業協会として古川前会長の下、粉ミルクの救援物資の提供、義捐金の寄付といった取り組みに積極的に取り組まれたと伺っております。それから風評被害の減少の取り組みといった事にも大変ご尽力いただいたことも伺っております。深く敬意を表します。
この度、中野新会長や小板橋新専務理事をはじめ、新たに役員に就任された方々も、これまでも乳業界で重きを成してこられた方々ですので今後のご活躍を期待したいと思っております。
昨年1年間を振り返ってみますと、私が申すまでもなく大震災、放射能被害ということであります。酪農乳業界においても未曾有の事態に直面したかと思いますが、そういった中で皆様方の大変なご努力で牛乳・乳製品の供給体制が回復したということだと思っております。24年度においても引き続き牛乳・乳製品の安定供給のためにご努力いただきたいと思っておるところですが、24年度の需給につきまして、1点申し上げたいと思います。先程の中野新会長の⑤挨拶の中でお話があった件ですが、私どの方で政策的な措置をさせていただいている加工原料乳を原料とした乳製品、バターといったものですが、これの安定供給が24年度は非常に重要になってくるかと考えています。私どもの方としましても24年度の牛乳の生産、生乳の生産増加に向けまして、1つは3月の行政価格の決定には補給金単価の引き上げ、限度数量の設定と増産に向けた環境の整備をさせていただいたところでございます。その後、生産者団体の方々には24年度の生乳生産の増加について折に触れお願いをしているところですし、期待しているところです。昨年末にバターで若干供給不安も生じましたので皆様におかれましても、その意を汲んでいただいて今年は消費者に対する安定供給という観点から取り組んでいただければありがたいと思っております。まさにそう考えていたところに新会長様からのお話がありましたので非常に心強く思っております。
最後になりましたが、皆様方のご健勝を祈念申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
当協会役員交代のお知らせ
新任 | |
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小板橋正人 | 専務理事 |
松﨑 勝 | 常任理事 |
退任 | |
東倉健人 | 専務理事 |