第7回定時社員総会・懇親会を開催
去る5月18日(金)、一般社団法人日本乳業協会の第7回定時社員総会・懇親会をホテルグランドパレスで開催いたしました。総会での会長挨拶と懇親会での来賓祝辞を掲載いたします。
- 定時社員総会 宮原会長挨拶 -
本日はご多用の中、第7回定時社員総会にご出席をいただき、誠にありがとうございます。会員各位には、当協会の事業運営に対し、平素より格段のご支援、ご協力をいただいておりますこと、心よりお礼申し上げます。
それでは、総会開催にあたり一言ご挨拶申し上げます。
日本経済は、個人消費に力強さを欠くものの、堅調な輸出や企業の設備投資に支えられ、緩やかな成長を維持しています。酪農乳業界は、北海道の生乳生産が夏以降約1年振りに回復して、明るい話題となりましたが都府県においては減少傾向に歯止めが掛からず、国内の生乳生産は回復には程遠い現状にあります。
こうした中、1年以上に亘って議論されてきた“生乳流通制度改革”は、改正畜安法の下、4月から新たな加工原料乳生産者補給金制度として再スタートしました。補給金の交付対象となった事業者は、全国で92事業者に及び、新制度では「全量無条件委託の原則」が撤廃され、指定団体への部分委託が認められたことで早速、「二股出荷」も始まっている模様です。
この改正によって、「生乳の需給調整や安定供給」、そして「品質の担保」が我々乳業者に対しどのように確保されるか、また生産者間の公平性を確保して生産基盤の強化に繋がる制度となっていくのか、今後もしっかりと注視して行きたいと考えます。
生乳生産基盤強化に関わる取り組みでは、Jミルクに、乳業者が拠出する“いわゆるJミルク基金(酪農乳業産業基盤強化基金)”が創設されました。“乳用牛の輸入”“後継牛育成基盤の強化支援”、そして“国産牛乳乳製品高付加価値化”事業などが動き始めています。引き続き、実効が上がる取り組みを目指して工夫を重ねていきます。
乳製品需給に関しては、夏場の飲用需給や12月のバター最需要期を、乳業者が業務用ユーザーの理解を得ながらポンドバターの冷凍流通を進めてきたこと、そして適切な国家貿易の運用により大きな混乱なく乗り切ることができました。
当協会は企業存立の基盤強化を図る上で「食の安全と消費者からの信頼確保」の取り組みを最重要課題の一つとしています。現国会で審議されている「食品衛生法等の一部を改正する法律案」に盛り込まれた「HACCPに沿った衛生管理の制度化」に向けては、会員への支援策が重要な取り組みとなっています。特に、小規模な乳業者向けの手引書作成では、その活用による取り組みが衛生管理水準の向上を段階的に図れる内容としていきたいと考えます。
一方、牛乳・乳製品の消費については、健康志向の高まりと消費者ニーズを踏まえた乳業各社の商品開発などで堅調な推移を見せました。これまで業界団体が連携して取り組んでいる普及啓発活動が功を奏していることも背景にあると考えます。
こうした中、学校給食用牛乳において、児童から「いつもと異なる味がする」との指摘が頻発しました。この問題に対しては、生産者と連携して、牛乳の風味は季節や産地、そして、異なる給与飼料によって違いが出ることを、児童や学校関係者、そして保護者に理解いただく取り組みが必要となります。今後も関係団体と連携して、受講者から好評を頂いている食育授業や食育勉強会において牛乳の風味に関する啓発活動に注力していきます。
また、今年3月に、農林水産省から、“牛乳・乳製品を対象とした適正取引推進ガイドライン”が公表されました。これには、“小売業者による独占禁止法や下請法に抵触する恐れのある15事例の紹介”や“望ましい取引の在り方”、そして“行政の相談窓口”などが示されています。このガイドラインを周知徹底させることによって、牛乳の安売りなど、問題ある商習慣が改善されていくことを期待したいと思います。
このように課題山積の乳業界ではありますが、2018年度重点5項目の事業推進にあたり、
1:酪農乳業界の共通課題解決と発展に向け、より一層の力を発揮することで、当協会のプレゼンスを高めること。
2:協会活動を通して、会員並びに都道府県協会傘下会員との一体感を醸成していくこと。
この2点を重要視点として、事業活動に邁進していきます。会員各位のご支援、ご理解をお願い申し上げます。
本日は、これより2018年度事業計画書と収支予算書についての報告、並びに2017年度事業報告書案及び決算書案、また今年度の会費徴収等についてご審議いただくこととなっております。慎重審議と円滑な議事進行にご協力をお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。
- 消費者庁 橋本次郎審議官祝辞 -
日本乳業協会におかれましては、日頃より食品の安全の確保、食品表示の適正化につきまして、多大なご尽力、ご協力を賜りまして誠にありがとうございます。この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げます。
ご挨拶の機会をいただきましたので、消費者庁の食品表示に関する取り組みについて少し述べさせていただきます。
食品表示をめぐる情勢につきましては、昨年来、機能性表示食品制度に関する運用改善、新たな加工食品の原料原産地表示制度の施行など実施してきたところです。
まず、機能性表示食品制度について、本日新たに追加公表したものを含めまして1308件の届出情報を公表しており、27年4月の制度開始以来、3年あまりで平成3年にはじまった特定保健用食品、いわゆる特保の許可件数1084件を上回りました。昨年6月に閣議決定されました規制改革実施計画におきましては、機能性表示食品制度の改善事項といたしまして、機能性表示食品の届出等に関するガイドラインの見直し等が挙げられました。これを受けまして、制度の運用の改善、それから、対象成分の拡大及び消費者への情報提供の観点から今年3月にガイドラインや質疑応答集の改正をおこなったところです。機能性表示食品制度につきましては、引き続き「作り易く」「売り易く」そして消費者に信頼される制度とすべく取り組んでまいりたいと思います。
次に、原料原産地表示制度につきましては、全ての加工食品について重量割合上位1位の原材料の産地、原材料が加工食品の場合には、その製造地、こういったものを義務表示の対象とした新たな制度を昨年9月に施行したところです。消費者庁では普及啓発資料の作成・公表、全国説明会の開催など、あらゆる機会を捉えて新たな制度について、消費者や事業者の皆様への普及啓発に努めています。
そして、遺伝子組換え表示制度につきましては、昨年4月から消費者や事業者等の有識者で構成されます遺伝子組換え表示制度に関する検討会を開催しまして、本年3月に報告書を取り纏めていただいたところです。報告書では遺伝子組換えではない表示が認められる条件を現行の5%以下から不検出に厳格化することや、制度の更なる普及啓発等の方向性が示され、今後は報告書を踏まえた制度への反映をおこなっていくことになります。
更に、新たな食品表示制度におきましては、加工食品への栄養成分表示が義務化されておりまして、経過措置期間が終了する平成32年3月末まで残り2年を切ったところです。事業者の皆様におかれましては、引き続き、ご対応いただきますようお願い申し上げます。
最後に、いま、話題になっております乳児用液体ミルクについてです。現在、液体ミルクにつきましては厚生労働省におきまして、液体ミルクを製造・販売するために必要な規格基準の設定について手続きを進めていただいているところです。消費者庁といたしましても、乳児用液体ミルクを特別用途食品として販売することを可能とするため、今週15日に特別用途食品の許可等に関する委員会を開催しまして、その許可基準について有識者の先生方に議論いただいたところです。今後、委員会での議論を踏まえ、パブリックコメントをはじめ、乳児用液体ミルクを特別用途食品として販売するために、必要な手続きを実施してまいります。
本年も食品表示制度がより一層、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保に役立つ制度として運用されていくよう努めてまいります。今後とも皆様方のご支援ご協力をお願い申し上げます。
最後になりましたが、日本乳業協会及びご出席の皆様方のますますのご発展ご多幸を祈念いたしまして私の挨拶とさせていただきます。
- 厚生労働省医薬・生活衛生局 道野英司食品監視安全課長祝辞 -
一般社団法人日本乳業協会第7回定時総会が無事終了されましたこと、まずもってお祝い申し上げます。また、お集まりの皆様には日頃から安全で品質の高い乳・乳製品の供給にご尽力されていますことに敬意を表したいと思います。併せまして、皆様には食品安全行政につきまして、ご理解ご協力をいただいており、厚く御礼申し上げます。
さて、懸案でありました食品衛生法の改正でございますが、おかげさまで今年3月に国会に提出させていただきました。4月に参議院の厚生労働委員会、それから本会議、いずれも全会一致で可決していただきました。現在、衆議院の方で審議を待っている状況ですが、私どもは与党野党の先生方に丁寧にご説明して一日も早い審議をお願いしているところです。食品衛生法の改正は15年ぶりということで、従前からいろいろとご意見をいただき、また、ご協力いただいているHACCPの制度化、さらには健康食品対策、器具・容器包装のポジティブリスト化、営業許可届出制度の見直しや新設、食品リコール情報の報告制度、輸入の乳・乳製品に関する衛生証明書の添付といったような盛り沢山の内容になっています。仮に今国会で法案が通っても、これから政省令、関係のガイドライン等々の運用につきましても、皆様のご意見やご協力をいただきながら、しっかり進めていく必要があると考えています。引き続き、法案が実行性のあるものになるよう、ご協力をお願いいたします。
先ほど、消費者庁の橋本審議官からも話がありましたが、乳児用液体ミルクについての規格基準につきましては、本年2月に日本乳業協会のご協力をいただいてデータを提出していただきました。そのデータに即しまして薬事・食品衛生審議会、食品安全委員会等の審議を経て規格基準の改正手続きを進めているところです。本年の夏を目処に関係の法令の改正を目指しています。また、乳児用液体ミルクは社会的な期待が非常に大きいということがあります。関係企業の皆様には、是非とも商品化を加速していただけたらと、お願いいたします。
結びに、日本乳業協会と関係企業のますますのご発展を祈念いたしまして私のご挨拶とさせていただきます。
- 農林水産省生産局 松本平牛乳乳製品課長祝辞 -
本日は第7回定時社員総会懇親会にお招きいただきまして誠にありがとうございます。また、この場をかりまして日頃より皆様方、貴協会におかれましては、わが国乳業ひいては酪農の発展のためにご尽力ご協力いただいていること、厚く御礼申し上げます。
本来ですと畜産部長が出席し挨拶申し上げることが通例となっていますが、本日は午前中に国会の審議におきましてTPP協定の審議、採決がおこなわれたところです。また、同じく午前にTPP関連法案につきましても内閣委員会と農林水産委員会の合同審査、現在が最終的な終局に向けた審議がおこなわれているところです。丁度この時間ですが、当課の案件、また、おそらく道野課長の関係のところの宇都宮審議官も国会の審議に立ち向かっているところでございますので、我々が代理で参会いたしましたことをあらためましておことわり申し上げるところです。
昨今のわが国の酪農乳業の関係の動きの中の1点目ですが、この4月から生乳流通の関係、新たな制度がスタートしました。補給金の関係につきましては、昨年6月に成立しました畜産経営の安定に関する法律の施行を4月1日からおこなったところです。この制度のスタートにあたり補給金の数量認定の関係について4月期の作業が先般終えたところです。農畜産業振興機構をはじめとしました関係機関の方々に、地域の乳業メーカーの協力をいただき無事認定作業が終了したことをご報告申し上げます。
2点目は、昨今の生乳生産の関係です。こちらにつきましても4月末に平成29年度の生産動向を農林水産省から発表させていただきました。全国的に見ますと微減の中、北海道につきましては堅調に推移しています。一転、都府県に目を向けますと減少傾向に歯止めが効かないところです。これに対し農林水産省生産局畜産部としましては、本年度は都府県酪農の生産基盤強化に向けた初年度としまして、部をあげて強力に推進していきます。来月以降、関係機関と地元自治体とも協力して東日本の2県、西日本の2県の現場に入り都府県の酪農基盤強化に向けて取り組みたいと考えています。このような生産基盤の強化と併せまして、これから需要期に入ってくるところです。思い起こせばここ数年は、北海道におきまして台風がたびたび訪れる、岩手におきます集中豪雨、昨年は九州北部の集中豪雨という夏場の需要期におきまして、台風災害が続いたところです。このような需要期におきまして、生乳供給が滞ることがないように関係機関、また業界の皆様方と連携を密にとって機動的な対応を進めていきたいと考えているところです。
先ほど、橋本審議官、道野課長からありました液体ミルクの関係です。農林水産省としましては、輸入の関税割当、こちらは乳幼児用調整粉乳用ホエイ等で受取るものにつきまして液体ミルクに関係するものについても対象とするべく作業を進めていきたいということにつきましてもおことわり申し上げたいと思っているところです。
いずれにしても業界の関係者につきましては、今後も酪農の発展に向けての中心的役割として期待するところは大であります。我々、行政機関としましても、先ほど申しました生産基盤の強化等につきまして強力に推進していきますので、引き続きのご協力方お願いいたします。
また、先ほど宮原会長からもお話がありましたように協会の運営におきまして、非常にご尽力、調整いただきました田村前専務理事におかれましては今回の改選で退かれると聞いております。我々といたしましても意思疎通を取りながら進めてこられましたこと、この場をかりて厚く御礼申し上げます。
最後になりますが、貴協会また関係企業の皆様、本日参会の皆様方のますますのご発展ご健勝を祈念申し上げまして、私の挨拶にかえさせていただきます。
当協会役員交代のお知らせ
新任 | |
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専務理事 | 岡田臣弘 |
常務理事 | 後藤拓志 |
常任理事 | 小澤和裕 |
理事 | 戸塚 護 |
理事 | 平沢裕子 |
監事 | 嶋崎孝司 |
退任 | |
専務理事 | 田村 賢 |
常務理事 | 加藤 稔 |
常任理事 | 坂口光一 |
理事 | 生源寺眞一 |
理事 | 小島正美 |
監事 | 木原正勝 |