第68回 牛乳・乳製品から「食と健康を考える会」開催

「食品等に含まれる放射性物質」

【日時】
平成23年11月14日(月)15:00~17:00
【会場】
乳業会館 3階 A会議室
【講師】
[農林水産省大臣官房審議官] 姫田 尚
【補佐】
[農林水産省消費・安全局 消費者情報官補佐] 丹菊 直子
【内容】
第67回に続き、「食品と放射線」に関し行政の立場からの現状報告を、科学的事実に基づいた正確な情報を共有化するために、暮らしの中における危険性のみではなく、放射線の有効活用も含めたメリット、デメリットの両面から、お話しいただいた。
また講演後、(財)日本乳業技術協会の「放射線測定の現場」の見学も行った。
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1.放射性物質の基礎知識

「放射性物質の基礎知識」は、第67回の補完の意味で、
・外部被ばくと内部被ばく
・天然の放射性物質による被ばく
・検査に用いる機器
に関し説明いただいた。

<外部被ばくと内部被ばく>

・人が放射線を体に受けることを被ばくという。
外部被ばくは、放射性物質が体の外にあり、体外から放射線を受けることで、外部被ばく線量は、地域の空間線量率と被ばくした時間によって決まる。
内部被ばくは、放射性物質が体の中に入り、体の中から放射線を受けることで、内部被ばく線量は、吸気中や摂取した水・食品中の放射性物質の種類や量、摂取経路、物理的半減期や代謝等による減少の程度などによって決まる。
・食物などから体に取り込まれた放射性物質は、別の原子核への変化や体外への排出によって、時間とともに減少。
・食品中の放射性物質からの1年間の内部被ばくの量(放射性物質が体内に残っている間に人が受ける内部被ばくの総線量)は、次のように計算することができる。

内部被ばくの量(mSv/年)= 食品中の放射性物質濃度(Bq/kg) × 年間摂食量(kg/年) × 実効線量係数(mSv/Bq)

・実効線量係数
放射性物質の種類(核種)や摂取経路、年齢区分(成人・幼児・乳児)ごとに、放射性物質の半減期や体内での動き、放出する放射線の強さ・量などから決められている。

成人による経口摂取の場合

核種 実効線量係数(mSv/Bq)
ヨウ素131 1.6×10-5
セシウム134 1.9×10-5
セシウム137 1.3×10-5

地域の空間線量率(μSv/h)から1年間の外部被ばくの影響を推計したいときは、

  • ・1日のうち8時間程度を屋外で、16時間程度を屋内で過ごすことを想定。
  • ・屋内で過ごす間に受ける線量は、空間線量率に低減係数(※)を乗じる。
    ※木造家屋内では0.4、ブロックあるいは煉瓦造りの家屋内では0.2 など

外部被ばくの影響(μSv/年)= 地域の空間線量率(μSv/h)×{8時間+(低減係数×16時間)}×365日

<天然の放射性物質による被ばく>

・天然の放射性物質は、これまでも食品中に含まれており、もっとも多いのは、カリウム40。
カリウムはすべての動植物に必須な元素で、カリウム39、40、41の3つの同位体があり、ほとんどは放射線を出さないカリウム39、41ですが、わずかに含まれるカリウム40(0.01%程度)は、ベータ線とガンマ線を放出する。
人の体内にも、放射性物質が常に存在する。

<検査に用いる機器>

・食品の検査は、食品中に含まれている放射性物質濃度を種類毎に調べる必要がるため、ガンマ線スペクトロメータを使用。

〔ガンマ線スペクトロメータ〕

  • ガンマ線を出す放射性物質の種類毎の濃度(Bq/kg)がわかる。
  • ・放射性物質の種類によって放出されるガンマ線のエネルギー(eV)が異なる。
  • ・ガンマ線スペクトル(ガンマ線のエネルギーごとの計数値)を測定。
  • スペクトロメータの検出器には、ゲルマニウム半導体やNaIシンチレータ等を使用。
  • 「ゲルマニウム(Ge)半導体検出器」
  • ・厚生労働省の定める公定法に記載
  • ・重量1.5~2 t、価格1,500~2,000万円
  • 「NaIシンチレーション検出器」
  • ・牛肉・米・麦類のスクリーニングに利用可能
  • ・重量100kg程度、価格250~600万円程度

〔サーベイメータ〕

  • ・持ち運びできる簡易な測定器の総称
  • ・測定原理により様々なタイプがある
  • ・検査対象以外の、環境中の放射線(バックグラウンド)の影響を受ける
  • ・食品中の天然の放射性物質(カリウム40など)を区別できない
  • ・通常、μSv/hやカウント数(cpmなど)を測定。
  • 放射性物質の種類(セシウム134、セシウム137、カリウム40など)毎の濃度(Bq/kg)はわからない

<検出下限と定量下限>

・検出下限:ある分析法で、分析対象物質が存在していることがわかる最低濃度
 ⇒検出下限以下の濃度で含まれていたとしても、見つけられない。
・定量下限:ある分析法で、分析対象物質の濃度がわかる最低濃度
 ⇒定量下限以下の濃度で含まれていたとしても、正確な濃度はわからない。
・検出下限や定量下限は、分析する核種、食品、機器などによって異なる。
・食品安全の分野では、世界的に、
 検出下限:基準値の1/10以下
 定量下限:基準値の1/5以下
あればよいとされている。
・検出下限や定量下限を低くするには、時間や費用がかかる。
・目的にあった分析法(測定機器、分析条件等)で分析することが重要であり、検出下限や定量下限を必要以上に低くする必要はない。

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