1. 日本の酪農の現在 ~牛乳が生まれる原点のところ~

日本の酪農の現在 ~牛乳が生まれる原点のところ~

■牛の種類とその頭数

乳牛ってどんな牛? どれくらい飼われているの?

「乳牛」と聞いて思い浮かべるのは、白黒の模様でおなじみ、ホルスタインではありませんか?日本の乳牛の99%がこのホルスタイン種。その他に、薄い茶色のジャージー種やブラウンスイス種などがいます。穏やかな性質のホルスタインは、体格が大型で乳房も発達していて、たくさんの乳が搾れ、育てやすい品種。世界各地で広く飼われています。
日本の酪農は近年、集約的経営とともに規模拡大が進みました。乳牛の総頭数も、高度成長期である昭和50年代に大きく増加し、昭和60年には211万頭となりました。
搾ったままの乳のことを「生乳(せいにゅう)」と呼びますが、生乳の生産量もこれにともない増加してきました。平成以降は、生乳需給の不均衡などを背景とした生産調整もあり、平成5年以降は減少傾向に。平成25年現在、全国で142万頭の乳牛が飼われています。

日本の酪農の現在 ~牛乳が生まれる原点のところ~
図1:生乳生産量と乳用牛頭数の推移
図1:生乳生産量と乳用牛頭数の推移
図2:乳用牛頭数と酪農家数の推移
図2:乳用牛頭数と酪農家数の推移

■酪農家と飼育頭数

日本に酪農家って、どれくらいいるの?

乳牛頭数の増加は、酪農家1戸あたりの飼育頭数(飼養規模)の拡大によるものでした。飼養規模で見ると、昭和40年には1戸あたり平均3.4頭だったのが、昭和60年には25.6頭に。平成に入ると、数百頭、数千頭を飼養する「メガファーム」*1と呼ばれる経営形態も登場。平成25年には飼養規模が73.4頭と飛躍的に拡大しています。さらに、飼養技術も向上し、乳牛の改良も進んだことで、乳牛1頭あたりの乳量も増加していきます。昭和40年に年間4,250㎏だった一頭あたりの乳量は、平成24年には2倍近い8,154㎏まで増えています。これにともなって生乳全体の生産量も大きく増加し、平成5年度に855万トンとピークを迎えますが、その後は減少傾向となっています。
*1 メガファーム:年間1000t以上の生乳出荷をする酪農経営、または牧場をいいます

図3:酪農家戸数と飼養規模の推移
図3:酪農家戸数と飼養規模の推移
図4:生乳生産量と経産牛1頭当たり生産量の推移
図4:生乳生産量と経産牛1頭当たり生産量の推移

■生乳生産の需要と供給の動向

いつでも飲める牛乳だけど、どうやって供給されているの?

生乳生産量を地域別に見ると、北海道が52%、その他の都府県が48%。北海道を中心に、東北や北関東、九州などでの生産量が多くなっています。
国内における牛乳・乳製品の総需要量は年間、生乳換算数量(*2)で約1,180万トン。総需要量のうち、国産生乳によって生産されている牛乳・乳製品は約760万トン。残りの約420万トンは、輸入に頼っているのが現状です。
牛乳・乳製品の需給構造を見ると、北海道で生産される生乳は、乳製品向けの割合が高く、都府県で生産される生乳は飲用牛乳等向けの割合が非常に高くなっています。
また、乳牛は暑さに弱い動物です。そのため生乳生産は冬~春に多く、夏には減少してしまいます。乳脂肪分などの乳成分も夏には低下します。飲用牛乳は賞味期限が短く、保存もきかないことから、乳製品向けよりも優先して生乳の供給が行われています。飲用の需要が増え、生乳生産量が減る夏に、都府県での生乳供給が不足すると、北海道の乳製品製造を調整して生乳を都府県に輸送し、安定供給を図ります。逆に、生乳の生産が多く飲用需要も減る冬には、乳製品の生産が多くなります。このことが乳製品の在庫量の増加にもつながります。
(*2) 生乳換算数量:乳製品を生産するのに必要な生乳の量に置き換えた重量(たとえば、バター1㎏をつくるためには約23㎏の生乳が必要なため、バターの生乳換算数量は約23㎏となります)。

図5:国内の牛乳乳製品需要構造
図5:国内の牛乳乳製品需要構造(平成24年度)
図6:生乳生産量の推移
図6:生乳生産量の推移
図7:生乳仕向け用途別推移
図7:生乳仕向け用途別推移