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日本の酪農の現在
~牛乳が生まれる原点のところ~

酪農と乳業について

牛の種類とその頭数

牛の種類とその頭数

- 乳牛ってどんな牛? どれくらい飼われているの? -

「乳牛」と聞いて思い浮かべるのは、白黒の模様でおなじみ、ホルスタインではありませんか?日本の乳牛の99%がこのホルスタイン種。その他に、薄い茶色のジャージー種やブラウンスイス種などがいます。穏やかな性質のホルスタインは、体格が大型で乳房も発達していて、たくさんの乳が搾れ、育てやすい品種。世界各地で広く飼われています。
日本の酪農は近年、集約的経営とともに規模拡大が進みました。乳牛の頭数も、1975年以降大きく増加し、1985年には211万頭となりました。
搾ったままの乳のことを「生乳(せいにゅう)」と呼びますが、生乳の生産量もこれにともない増加してきました。平成以降は、生乳需給の不均衡などを背景とした生産調整もあり、1997年以降は減少傾向でしたが、ここ数年は生産基盤強化の取り組み等により生産量は持ち直しています。2021年現在、全国で136万頭の乳牛が飼われています。

図1:生乳生産量と乳用牛頭数の推移
図1:生乳生産量と乳用牛頭数の推移
図2:乳用牛頭数と酪農家数の推移
図2:乳用牛頭数と酪農家数の推移

酪農家の数と牛の飼育頭数

- 日本に酪農家って、どれくらいいるの? -

乳牛頭数の増加は、酪農家1戸あたりの飼育頭数(飼養規模)の拡大によるものでした。飼養規模で見ると、1965年には1戸あたり平均3.4頭だったのが、1985年には25.6頭に。平成に入ると、数百頭、数千頭を飼養する「メガファーム」*1と呼ばれる経営形態も登場。2021年には飼養規模が97.6頭と飛躍的に拡大しています。さらに、飼養技術も向上し、乳牛の改良も進んだことで、乳牛1頭あたりの乳量も増加していきます。1965年に年間4,250㎏だった一頭あたりの乳量は、2020年には2倍強の8,806㎏まで増えています。
*1 メガファーム:年間1000t以上の生乳出荷をする酪農経営、または牧場をいいます。

図3:酪農家戸数と飼養規模の推移
図3:酪農家戸数と飼養規模の推移
図4:生乳生産量と経産牛1頭当たり生産量の推移
図4:生乳生産量と経産牛1頭当たり生産量の推移

生乳生産の需要と供給の動向

- いつでも飲める牛乳だけど、どうやって供給されているの? -

生乳生産量を地域別に見ると、北海道が56%、その他の都府県が44%。北海道を中心に、東北や北関東、九州などでの生産量が多くなっています。
2020年度の国内における牛乳・乳製品の総需要量は生乳換算数量(*2)で約1,242万トンでした。そのうち、約743万トン分の牛乳・乳製品が国産生乳から生産され、約499万トン分は輸入乳製品に頼っているのが現状です。
牛乳・乳製品の需給構造を見ると、北海道で生産される生乳は、乳製品向けの割合が高く、都府県で生産される生乳は飲用牛乳等向けの割合が非常に高くなっています。
また、乳牛は暑さに弱い動物です。そのため生乳生産は冬~春に多く、夏には減少してしまいます。乳脂肪分などの乳成分も夏には低下します。飲用牛乳は賞味期限が短く、保存もきかないことから、乳製品向けよりも優先して生乳の供給が行われています。飲用の需要が増え、生乳生産量が減る夏に、都府県での生乳供給が不足すると、北海道の乳製品製造を調整して生乳を都府県に輸送し、安定供給を図ります。逆に、生乳の生産が多く飲用需要も減る冬には、乳製品の生産が多くなります。このことが乳製品の在庫量の増加にもつながります。
(*2) 生乳換算数量:乳製品を生産するのに必要な生乳の量に置き換えた重量(たとえば、バター1㎏をつくるためには約23㎏の生乳が必要なため、バター1kgの生乳換算数量は約23㎏となります)。

図5:国内の牛乳乳製品需要構造(2020年度)
図5:国内の牛乳乳製品需要構造(2020年度)
図6:生乳生産量の推移
図6:生乳生産量の推移
図7:生乳仕向け用途別推移
図7:生乳仕向け用途別推移