第95回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会開催

Q1.150年の歴史というのは、私も、こんなふうになっていたのかというのを知らないこともたくさんあったのですごく勉強になったし、おもしろかったです。
最後の低温殺菌の話のところで、低温殺菌は味の追求という点でいいと言われ、流行ったのじゃなかったかなと思ったのですけれども。安全性は低温殺菌でも高温急速殺菌でも一緒ですよね。でも、飲んでみるとそれほど変わらないのではないかということですが、そのあたりいかがでしょう。
A1.
  • 1970年の自然食ブームのときも、味に関してはそれほど言及されなかったです。高温急速殺菌だと、ビタミンと栄養素が破壊されるという話が中心でした。低温殺菌のほうが高温殺菌よりおいしいとは言っていましたが、どこがどう違うか、詳しく説明されませんでした。
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Q2.関連してですが、味ということからいうと、私はやっぱり、牛乳や乳製品を扱う特に西洋料理の場合、これはもう、バター、生クリーム、牛乳というのがむしろ味の決め手じゃないかと思います。ですから、例えば有名シェフのレストランなんかで食べるお料理がおいしいとかというのを見ていると、とにかくバターや生クリームを使いますよね。ですから私は家庭料理でも、西洋系の料理を自分でつくると、バター、生クリーム、牛乳というのは絶対欠かせないとか、アジア系だとココナツがやっぱりおいしさにすごく結びつくと思いますが、そのあたりが日本ではあまり言われていないんですかね。
A2.
  • おっしゃるように、バターと生クリームと牛乳は西洋料理に欠かせません。私は西洋料理の本をたくさん作っているので、シェフたちの材料選びの話もよく取材していますが、バターはどこのこういうもの、生クリームは乳脂肪何%で、どこのメーカーと、皆さん必ずこだわっていらっしゃいます。ただ、そのわりに、牛乳に関しては誰も何も言わない必ず使う材料なのに、どこのこういう牛乳というこだわりと持っている人はいない。
    料理より牛乳をさらに使うのは洋菓子です。パティシエも、生クリームには強いこだわりがあって、色まで細かく言及するのに、牛乳はぞんざいな選び方をしている印象です。
    牛乳は恐らくメーカーなり種類によってそんなに違いがなく、例えば、カフェオレなど、最近はラテ系のドリンクがとても人気で、抹茶とも合い、ほうじ茶とも合う副材料として牛乳は欠かせないけれども、単独で牛乳自体を味わうときのおいしさを語られることは少ないと感じました。
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Q3.ありがとうございました。畑中さんは、牛乳自体の素材そのもののおいしさというのはどこにあるとお感じですか。
A3.
  • 私は、母の母乳が足りなくて、生まれたのが、ちょうど粉ミルクに対する不信感が抱かれていた時期なので、哺乳瓶に入れた牛乳で育ったらしいです。ですから牛乳だったら何でも好きですけれども、やっぱり、噛んで味わうと言いますよね。ゆっくり飲んだときに香りがいいものが好きですね。
    味自体にはそこまでこだわってないですね。牛乳であれば何でも好きなので(笑)。
Q4.香りというのは私はそれほど意識したことなかったのですけれども、そんなに違いがあるものですか。
A4.
  • 低温殺菌のほうが高温殺菌より焦げ臭がなくておいしいとよく言われますが、高温殺菌に慣れてしまっているので、低温殺菌のさらっとしたタイプを飲むと、個人的にはちょっと物足りなさを感じてしまいます。
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Q5.そういう、何にでも相手に合わせて引き立てる料理のときには牛乳は欠かせないけれども、牛乳そのものを売るときに、おっしゃるようにワインだとかそういったような、そのもので飲むときの個性を出していく必要がもっとあるとお考えですか。
A5.
  • そうなんです。言説があまりにもなさすぎる、何でおいしさについて語らないのか疑問です。例えば「おいしい牛乳」という商品がありますよね。パックに記載された説明を読んでみても、酸化を防ぐとか安全性とか鮮度ばかりに言及されていて、肝心のどこがおいしいのか、わからないんです。
Q6.うちの家族はみんな牛乳を飲みますけれども、すごくうるさいのが1人います。小さいときから自分で料理をするのが好きで、牛乳に合う料理、合わない料理を自分なりに工夫してやっているのですけれども、飲む牛乳以外に、料理に使う牛乳はものすごく大事だと思っているんです。料理本でも、牛乳を使った料理というのは部分的には出ていても、特別に牛乳を使った料理本というのは出ていないですよね。附属物としての存在であって主役にはならないのかなと思ったのですけれども、いかがでしょう。
A6.
  • 料理本を調べてみたところ、1960年に『牛乳料理五〇〇種』という本が刊行されています。戦後から高度経済成長期は、牛乳を料理に使うことが今より盛んに奨励されて、料理の先生たちが一生懸命考えていたようです。500種も考えるのは難しいですよね。
Q7.和食に合わないかなと思って、おでんに入れたんです。初めはみんな、ぎょっという顔をしていましたけれども、結構消費されましたね。はんぺんが一番消費量が高かった。だから、入れるものによって、すごく合うのと、ちょっと遠慮したほうがいいかなというのがあるのかもしれないですね。でも、牛乳って割と何でも合うと思いますけれども、いかがでしょうか。
A7.
  • 合いますよね。私は、シチューに合う牛乳とか、グラタンに合う牛乳とか、料理別にその料理専用の牛乳が開発されて売られるようになるとすごくいいと思います。
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Q8.味絡みで思い出したことがあって。私は以前、食品メーカーの嘱託を20年ほどしていたことがありまして、その当時にそのメーカーが出した製品で、水だけでつくれるということを謳った製品があったんです。私たちの仕事はそういうことに対して意見をいろいろ述べる立場だったものですから、どうして水だけで作れるなんていうことを謳うんだと言いました。つまり、その製品は牛乳を入れればものすごくおいしくなるんですよ。例えばキャンベルのポタージュなんかもみんなそうですよね。半分の水で伸ばすのと、半分の牛乳で作るのとでは全然違いますよね。だから、そうやって考えて、やっぱり牛乳の味はおいしいんですよね。ということを思い出しました。
A8.
  • そうですよね。プリンミクスが60年代に発売されましたよね。あと、シチューミクスも。売り文句は、「水でできる」でしたけど、当時はまだ牛乳が高かったということですよね。箱をよく見ると「牛乳でつくるとよりおいしくなります」なんて書いてあったりして(笑)
Q9.今日はありがとうございます。とてもおもしろく拝聴しました。いろいろお伺いしながら思い出していたのですけれども、やっぱり牛乳は、味はちゃんと違いがあると思います。というのは、ヨーロッパでも、山岳地帯だ、平原だと、牛の種類が違いますものね。そして、その牛の食べている草とかハーブとかによって、季節によっても違いますでしょう。だから、本当はもっと牛乳の味というのは、追求すればきっと違いがあると思うんですね。
そして、この間、日本人の方でフランスでもたくさんプリ(prix)をいただいていらっしゃるチーズ屋さんのスタジオに行きましたら、裏のほうは全部、ジャージー牛を飼っていらして、クリーム系のチーズは必ずそれで作る、それにすごく誇りを持っておられました。ですから、やっぱり牛乳そのものは、よく味わうほうが結果につながると思います。
おかゆを牛乳で作るなど、単純なものほど材料の味がわかりますよね。そんなことを思いました。
A9.
  • そうですね。ありがとうございます。
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Q10.和食に牛乳というのがどんどん増えてきている感触はありますか。
A10.
  • 一番簡単なところで、みそ汁に牛乳を少し入れるとか。みそと牛乳は合うと思います。
Q11.ありがとうございました。大変おもしろく伺いました。日本人にとってチーズはそんなに親和性のあるものだったと思えないんですけど、チーズケーキ以来、ずっと長い時間チーズがそれなりに定着をしていっているというのはよくわかる感じがするんですが、先生はそれに何か理由を感じられますか。
例えば牛乳なんかは、日本は、大昔はともかくとして、どちらかというと牛乳は飲まなかったけれども、定着しているほうだというふうに見ていいんでしょうか。
A11.
  • 牛乳はやっぱり、学校給食によって定着したと思います。チーズが戦後、1960年代に消費量が年々上がってきたというのは、給食で小さいのが出て、それで味を覚えた子どもたちが消費を先導したのではないでしょうか。
    チーズケーキに対する嗜好と、とろけるチーズへの嗜好が支えていて、西洋人のようにチーズだけでむしゃむしゃ食べているかというと、そこはまだまだ消費量は少ないですね。ただ、国産チーズのつくり手が増えてきていて、この5~6年、日本の手づくりチーズの文化が急に注目されています。人の顔の見えるチーズというんですか、生産者が牛や山羊を飼うことから始めて、乳を搾り、製造から熟成までを一貫して行うチーズが、少しずつ注目されていると思います。
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