第85回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

  • 質疑応答
Q6.東南アジアではココナッツミルクが料理に合うために、使われることが多いのですが、そのような地域にミルクは浸透していくのでしょうか。
A6.
  • ココナッツミルクは脂分も含まれており、料理に使っても美味しいものです。フィリピンとインドネシアで調査しました。嗜好品として入っています。ヨーグルトに蜜をかけて食べるスウィーツとして入っています。補助栄養食としても乳酸菌飲料等は飲まれています。教育でもミルクがあれば栄養的に完璧といったようなスローガンも掲げています。西欧型の食文化としてチーズバーガーを食べます。ミルク粥に甘いものをかけて食べたりもしています。ただし、日本のように発酵食品との融合はされていません。これ以外の伝統食には入っていないようです。
Q7.「醍醐」というのは何でしょうか。
A7.
  • 仏典の中に「乳」から「酪」、「酪」から「生酥」、「生酥」から「熟酥」、「熟酥」から「醍醐」、醍醐は最上なりという言葉があります。南方系の由来だと思います。サンスクリット語で書かれたものが漢語に翻訳されて日本に伝わりました。
    「乳」はミルクです。「酪」はヨーグルト、「生酥」はバター、「熟酥」はバターオイル、それでは「醍醐」は何かと言うと明確な記述がありません。ですから、いろいろな解釈があるのです。「醍醐」もバターオイルだと思われます。これは、低級脂肪酸や不飽和脂肪酸が多く含まれた常温でも固まらず液体になりやすいバターオイルと推測されます。パーリー聖典、ベーダ聖典では「熟酥」までは詳細な記述がありますが、それ以降は推測になりますがおそらくバターオイルで蒸発してほんの僅かしか採れません。ですから、薬として用いられ特権階級しか利用できなかったものではないでしょうか。
Q8.インドの「ギー」とは何でしょうか。また、チーズは何処に位置付けられていますか。
A8.
  • 「ギー」はバターオイルです。インドの牧畜民は基本的にチーズをつくりません。ただし、インドの都市民は「パニール」というチーズをつくります。タンパク質を保存しない地域がユーラシア大陸に2か所あります。一つはこのインドでもう一つがラクダ遊牧民です。共通することは一年中ミルクを搾ることができることです。ラクダは一年中ミルクを出します。加工保存しなくてもいつでもミルクがある生活です。インドも赤道に近いため、家畜は季節繁殖ではなく周年繁殖します。また、農耕も盛んで多種類のマメ類を栽培しています。ですから、ミルクからだけでなくマメ類からもタンパク質を補給できます。これらの諸要因が関係し、インドでは牧畜民はチーズを加工しないように特異に発展していきました。インドは牧畜と農耕とが一体化して発達しているところが特徴です。
Q9.「共進化」という言葉を使われていますが、この言葉は進化論とも関係するため、もう少し知見の集積がされてから、使うべきではないでしょうか。
A9.
  • 「共進化」ということは、ウシは仔畜にしか与える量のミルクしか出さなかったのですが、品種改良や遺伝子の選択で大量のミルクを出すことのできるウシにしてきました。ウシも遺伝的に進化させてきました。人間も遺伝子の変化が起き、大人になっても乳糖を分解できるように進化しました。ですから、人間とウシとが共に生活し合い、その長い共存の過程を経て、共に遺伝子的に変化を起こしたという意味で「共進化」と言う言葉を使いました。

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