第72回 牛乳・乳製品から食と健康を考える会 開催

「BSEの現状とリスク、その対策について」

【日時】
平成24年11月12日(月)15:00 ~ 17:00
【会場】
乳業会館 3階 A会議室
【講師】
厚生労働省 国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部部長 農学博士 山本 茂貴
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 委員/放射性物質対策部会部会長/乳肉水産食品部会部会長/食中毒部会部会長/牛海綿状脳症対策部会委員
内閣府食品安全委員会 プリオン専門調査会委員およびリスクコミュニケーション専門調査会委員
山本 茂貴
【出席者】
「牛乳・乳製品から食と健康を考える会」委員
消費生活アドバイザー 碧海 酉癸
管理栄養士 荒牧 麻子
毎日新聞社 編集局記者 今井 文恵(座長)
日本経済新聞 編集委員 岩田 三代
江上料理学院 院長 江上 栄子
消費生活コンサルタント 神田 敏子
評論家・ジャーナリスト 木元 教子
作家・エッセイスト 神津 カンナ
日本大学 芸術学部 特任教授 菅原 牧子
科学ジャーナリスト 東嶋 和子
産経新聞社 文化部記者 平沢 裕子
(50音順)
乳業メーカー:広報担当者
乳業協会:小板橋専務 他
出席者出席者
【内容】
今回は、輸入牛肉等の月齢規制緩和問題等、対策の見直しで動きがみられる「BSE問題」に関し、その背景等を厚生労働省 国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部部長 山本茂貴様に、「BSEの現状とリスク、その対策について」をテーマにご講演をいただいた。

1. はじめに

厚生労働省 国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部には四つの室があり、第一室が乳及び乳製品、食肉及び食肉製品の食品衛生と環境衛生に関する研究を行っているところで、食中毒菌の試験法に関する研究等を行っている。第二室は水産食品その他の食品の製造工程における微生物及び有害物質の制御に関する調査及び研究魚介毒の迅速検出法に関する研究を行っている。第三室は食品微生物のリスクアセスメント及び食中毒菌の食品からの検出法の検討を行っている。第四室は食中毒に関連するウイルス、最近ノロウイルスがよく聞かれると思いますが、試験法及び対策を考えている。このように、厚生労働行政に対し、基礎的な科学的知見に関する情報を提供することを主体に仕事を行っている。
単に基礎的なことだけではなく、行政の支援部門としてレギュラトリーサイエンス(『科学技術の成果を人と社会に役立てることを目的に、根拠に基づく的確な予測、評価、判断を行い、科学技術の成果を人と社会との調和の上で最も望ましい姿に調整するための科学』)、行政に役立つような研究を中心に行ってきている。
平成13年(2001年)9月にBSEが発生し、平成15年に「食品安全委員会」が内閣府にでき、リスク分析の枠組みの中で、食品は「リスク管理」と「リスク評価」を分けるということで、独立した評価を行った上で行政施策を行っていくことになった。
以降、当国立の研究機関は内閣府からも直接指示命令を受けることになり、二重に仕事が増えることになった。管理側にいろいろ考察し助言する場合は管理の立場で、評価をする場合は評価者としての立場という二つの性格を持ったポジションである。評価と管理を同じ人間が行うから問題であるというわけではなく、ポジションによって考え方を変えて対応している。

2. 牛海綿状脳症(BSE)とは

BSEは牛の病気の一つで、「BSEプリオン」と呼ばれる病原体が、主に脳に蓄積し、脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し、死亡すると考えられている。
この病気は、1986年にイギリスで見つかり、1994年までは牛の病気として扱われ牛の間で広まった経緯にある。広まった原因としては、BSE感染牛を原料とした肉骨粉を飼料として使ったことが考えられた。最初の牛がどうしてそのようになったかはわかっていない。
当初、「狂牛病」という言葉を使っていたが、この言葉は「狂犬病」をイメージし、牛から牛に直接うつるような印象を与えたが、そのようなことは全く心配ない。これは餌を介してのみ伝染する、つまりプリオンを食べることで拡がっていく病気である。牛が震えてバタバタ倒れる事態になったとしても、人がそこから感染することはないが、最初に「狂牛病」というイメージで報道がなされたため、多くの方が不安を感じる状況になった。このことから、「狂牛病」という呼び方は止め、牛海綿状脳症(BSE)という言い方に変更した。
1994年までは牛の病気とされていたが、1995年に英国で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者が初めて確認された。vCJDとBSEとの関連性が示唆され、公衆衛生上の問題となり、1995年からは人との関連を持った非常に重要な疾病となった。
我が国では、これまでにvCJD患者が1人確認されているが、日本で感染したのではなく、英国滞在時に感染した可能性が有力と考えられている。

<牛海綿状脳症(BSE)とは>
  • BSEは牛の病気の一つです。「BSEプリオン」と呼ばれる病原体が、主に脳に蓄積し、脳の組織がスポンジ状になり、異常行動、運動失調などを示し、死亡すると考えられています。
  • この病気が牛の間で広まったのは、BSE感染牛を原料とした肉骨粉を飼料として使ったことが原因と考えられています。
  • また、1995年に、英国で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)患者が初めて確認されました。vCJDはBSEとの関連性が示唆されています。
  • 我が国では、これまでにvCJD患者が1人確認されていますが、英国滞在時に感染した可能性が有力と考えられています。

BSE感染牛 BSE感染牛を原料とした肉骨粉を牛に給与 BSEの感染拡大

<肉骨粉(にくこっぷん)>
  • 牛や豚などの家畜をと畜解体する時に出る、食用にならない部分をレンダリング(化製処理)した後、乾燥して作った粉末状のもの。
  • 主に飼料や肥料として利用された。
  • 現在、牛から牛に BSE がまん延したのは、BSE感染牛を原料とした肉骨粉などの飼料を使っていたことが原因と考えられていることから、我が国では牛などの反すう動物を原料として作られた肉骨粉は牛以外の家畜なども含め飼料等への使用が禁止されている。
  • 又、我が国は、すべての国からの肉骨粉の輸入を禁止している。

肉骨粉

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